1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

JRが“リニア開業”より“夜行列車の復活”を優先すべき理由「廃止が相次いだ当時と状況が大きく異なる」

日刊SPA! / 2024年6月28日 8時51分

 つまり、これまでは訪れなかった土地に外国人旅行者は目を向け始めているのである。

◆「日本の夜行列車」には引きがある?

 さらに追い風なのは外国人観光客の多くが夜行列車に対して好意的であるという点だ。

 例えば現在唯一運行しているサンライズ出雲利用者のYouTube動画は8700万回以上再生されており、海外からのコメントが多いのが特徴。外国人は「日本の夜行列車」に強い興味を持っていることが伺い知れる。

◆「アクセスがよくない」高山市がさらに伸びる可能性も

 ここで一つ“夜行列車需要”が高く見込めるエリアの例を出そう。

 リニアで注目を集めたJR東海の営業エリアの中にも大きなインバウンド需要を生んでいる地域ーー岐阜県の高山市だ。

 コロナ禍前には年間約473万人の観光客が訪れており、そのうち約61万人が外国人観光客だった。これは、人口(8万人強)の約7倍にあたる数字だ。現在はさらに多くの人が訪れている可能性も高い。
 
 しかし、現状ではアクセスに優れているとは言い難い。東京駅からは新幹線から名古屋で在来線に乗り継ぎ、約4時間30分かかる。

 だが、高山を訪れたい外国人観光客は少なくない。事実、以前筆者が特急ひだに乗車して高山を訪れた際は車内は日本人より外国人乗客の方が圧倒的に多いという状態だった。

 となると、夜行列車1本で目的地に向かえるとするならば、その地域を訪れる外国人観光客は増える見込みがあるということである。

◆品川22:30発、高山6:30着の列車が通れば…

 高山市の例のように、夜行列車が運行すれば、現状ではアクセスに難のあるエリアにも外国人訪問者が足を運ぶチャンスを増やせる。そうなると、まだ見ぬ日本の名所に足を運ぶようになるのではないだろうか。  

 また、夜行列車を利用すればホテル代が節約できることはもちろん、時間を有効活用することでより多くの街を回ることができる。

 たとえば、東京を出て、名古屋で高山(岐阜)方面と同じく外国人観光客が多く訪れる京都を経由し、奈良に向かう列車と分離する多層建て夜行列車を通すとしよう。

 相応の速度で在来線を走らせた場合、東京-高山、東京-京都ー奈良も8時間となる。東京駅は車両を長時間留置できないので、ホームに余裕のある品川始終着で設定した場合、時刻表は下記のようになる。

【下り】
品川22:30発→高山6:30着、奈良6:30着

 下りの品川駅では20:00くらいから車両を停めておき、奈良は9:00くらいまで停めておき、好きなタイミングで乗車・下車できるようにする。この理由は後述する。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください