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石橋静河の“濡れ場を運動に変換する”資質に驚き。出演作品を見た記者は「現代のロマンポルノ」だと思った

日刊SPA! / 2024年7月2日 15時50分

でもやっぱり身体が動かない。しくしく泣き始めた理紀に沖縄出身のダイキが「煮いきらんに」と言う。北海道の北見から「変われると思ってた、あの町を出れば」と思って上京してきた理紀にとっては、救いの一言というか、同じ地方出身者のリアルな手触りが彼女の心を優しく開き、風呂に促す。入浴後、いよいよ施術が始まる。何とも言えないリラックスした状態。あっという間のアロマ体験だが、「セックスしてもらえませんか?」と聞く理紀に対してダイキは、「えっ?」と聞き返す。

その言葉を聞き入れたダイキは、時間外のサービスを施す。理紀は身も心も解放されていくのを静かに感じながら、彼の大きな背中を強く抱く。このベッド上にも微笑みが連動するように、彼女の身体は微動する。

翻って第5回。草桶夫妻との契約を履行する中、理紀は地元に一時帰る。黙って来てしまったことで、基からこっぴどいお叱りメールが届くが、何だかむしゃくしゃした理紀は、以前の職場の上司・日高(戸次重幸)の誘いを受けてホテルに行く。東京のど真ん中で施術を受けたホテルとはまるで違う。田舎の町外れにポツンと一軒。行為の内容も違う。海老反りの勢いで雄叫びをあげる日高に対して理紀は微動どころか、微動未満。ただ心の中で「あぁ、もう」を繰り返す。東京では身体が自然と気持ちよく微動したが、地元では心が激動する。

◆“濡れ場を運動に変換する”資質

同じベッドシーンでも石橋静河は、こうもダイナミックな静と動のコントラストで表現出来るのだ。日高との行為では、心の激動が濁流になって、「もっかい、いい?」とまさかの二回戦へ。これはもはや単なる性的行為を超えている。そうだな、石橋静河的な運動とでも形容したらいいだろうか?

それで言うと、これは現代のロマンポルノだと思う。正確には、現代で解釈されたロマンポルノ。倒産後に再建された日活が1971年から始めた路線である同ジャンルは、神代辰巳の『濡れた欲情・ひらけ!チューリップ』(1975年)など、性の躍動を運動そのものとして捉えるものだった。日活ロマンポルノ45周年を記念した塩田明彦の『風に濡れた女』(2016年)は、現代的なアップデート版であり、男女の肉体が取っ組み合う肉弾戦が次から次へ流転し、気づけば物体と物体が接合され官能的な運動体にトランスフォーム……。みたいな画期的作品だった。それは『抱きしめたい -真実の物語-』(2014年)のような純愛映画でさえ、塩田監督の演出だと、メリーゴーランドの上下運動によってキスシーンへ移行するという具合に。

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