肉のハナマサ、スーパー玉出。東西の2大“ローカルスーパー”が異例の提携。大量閉店、暴力団関与…「挫折からの再起の行方」は
日刊SPA! / 2024年7月5日 8時53分
東京都心部では珍しいディスカウント業態として、花正ファンを公言する芸能人も現れるようになるなど、知名度は全国的なものとなるが、業務用食品スーパー特化という事業戦略は経営基盤の脆弱化につながり、同年2月には一転して店舗の半数弱(47店舗)を一斉閉店する事態となった。
◆業務スーパーと明暗が分かれたワケ
業務用食品スーパーという業態は、神戸物産による「業務スーパー」が2022年10月に全国1000店舗を突破するなど、現在でこそ幅広い層に定着したが、首都圏近郊の市街地や住宅街で業務用大容量商品の需要は当時乏しく、非常にニッチな業態であった。
業務スーパーが「一般のお客様大歓迎」を掲げ、各地の有力食品スーパーとエリアライセンス契約を締結することで、低廉かつ迅速に多店舗化を図った一方、花正はあくまで「Prospec Wholesale Store」として中小飲食事業者を主要顧客と定めていたため、一般消費者の買物先の選択肢とならなかった。
花正による地場流通大手各社との提携は、店舗単位・部門単位といった緩やかなもので、相手先企業が競合他社(イオン・ダイエー・西友)の系列となる過程で解消となったため、直営主体での多店舗化に軌道修正したことも災いとなった。これにより、新興の神戸物産や大手食品卸系のトーホーAプライスに業界首位の座を奪われる結果となった。
また、花正の一斉閉店と同時期に中国製冷凍餃子事件が発生するなど、当時相次いだ食品偽装問題を背景に、食の信頼性を求める声も大きくなっていた。
◆挫折を糧に再成長めざすハナマサ
花正は経営再建の一環として、2008年3月に食品スーパー事業を現法人に移行する構造改革を実施。事業部間で精肉や酒類・各種調味料(花正PB)の共同調達を図るなど、一心同体の関係にあった花正グループは解体となった。
花正の外食事業に関しては、看板業態「ステーキの店いわたき」の一部店舗が、ロードサイドのハイエナと称された井戸実氏主導のもと「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」として全国的に急拡大。いわたき屋号の店舗に関しても複数事業者により存続している。
花正の製造部門(ルドルフハム工場/肉の大公)に関しては、花正再建の過程で神戸物産が引継ぎ、花正時代からのブランドそのまま業務スーパーの製販一貫体制の中核を担っている。花正の小売事業に関しては、2008年9月に「全日本食品(全日食チェーン)」子会社、2013年9月に全日食と関係の深い茨城地場食品スーパー「ジャパンミート(現JMホールディングス)」子会社となり、2024年6月12日には関西1号店(千日前店・九条店)の開店を発表するなど、JM社主導のもと再拡大を図っている最中だ。
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