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肉のハナマサ、スーパー玉出。東西の2大“ローカルスーパー”が異例の提携。大量閉店、暴力団関与…「挫折からの再起の行方」は

日刊SPA! / 2024年7月5日 8時53分

 また、玉出は旧体制下における店舗網拡大の過程で、レジャービルやパチンコ店跡といった異業種にルーツをもつ物件、マンションのエレベーターが売場内にある物件、半世紀超の老朽物件といった特殊な物件を多数擁しており、物件特有の課題も顕著となっていた。

 既出の通り、競合各社は玉出の地盤である大阪市中心部での店舗拡大に加え、「ダイエーCoDeli」「ライフMiniel」といった新業態の開発を進めており、玉出というブランドに依存しない価格面・商品面での「差別化の鍵」の確保が急務だった。

◆玉出は西成周辺に店舗集約

 フライフィッシュ(スーパー玉出)と花正(肉のハナマサ)は、2023年より本格的な業務提携交渉を進め、譲渡対象店舗の選定や対価・PB商品の取引内容など細部を詰めていたという。

 両社間の業務提携にともない2024年秋以降、玉出は「中核エリアである西成区及びその周辺地域」に経営資源を集中、西成区外の8店舗の賃借権を花正に承継したうえで段階的に事業譲渡する。これにより、玉出の店舗は最盛期の「3分の1」となる西成区を中心とした15店舗まで減少、花正の関西店舗は10店舗(新規出店2店舗含む)となる見通しだ。

 また、玉出が開発中の「生鮮・総菜の新商品」と花正の自社PB商品「プロ仕様」を相互融通することで品揃えを拡充、店舗の譲渡益を「主に西成地区の店舗のリニューアルなど継続店舗拡充に要する費用に充てる」という。

 玉出が本拠地とする西成区内でも、徹底的なドミナント戦略で市場を独占した「あいりん地区」2店舗(天下茶屋店・今池店)から競合他社との競争が顕著な玉出店・岸里店まで店舗間で競争環境は大きく異なるが、いずれも花正の首都圏既存店と親和性の高い立地となっている。

◆西成区外の店舗はハナマサ転換も

 花正の「プロ仕様」はファンも多く、同社店舗への来店動機として機能しているため、玉出既存店で取扱実績のない「プロ仕様」を含む大容量業務用食品の導入は、近隣中小飲食事業者を始めとする新規客層の開拓に結びつくだろう。

 玉出との提携を機に、花正が過去に挫折した同業他社への「プロ仕様」の外販事業や「肉のハナマサ」全国展開に向けた取り組みが再び動き出す可能性もある。2020年9月に関西進出を果たした「ロピア」や2024年秋を目処に関西進出を果たす「オーケー」と同様、首都圏発のディスカウンターとして存在感を高めることとなりそうだ。

<取材・文・撮影/淡川雄太(都市商業研究所)>

【都市商業研究所】
『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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