焼肉店の倒産が急増する中、「牛角」「焼肉きんぐ」大手チェーンが客単価の低い“ランチ営業”を続けるワケ
日刊SPA! / 2024年8月4日 15時54分
※画像はイメージです
焼肉店の倒産が急増している。干ばつなどで米国産牛の供給が減るなど飼育・肥育環境の悪化に、円安による仕入れ価格の高騰が加わり、焼肉店の経営がますます厳しくなっている。
特に、焼肉の食べ放題の原価対策用や牛丼に使う米国産牛バラ肉(ショートプレート)の国内卸値は、2024年5月に前年同月比63%増の1,436円まで値上がりしており、過去最高値となっている。そんななか大手チェーンに“ランチ営業ブーム”の兆しが出てくる現状を分析したい。
◆売上よりも利益重視の経営
倒産する焼肉店が増えている中、単価の高いディナーに経営資源を集中して、効率経営を実現したほうが得策だと考える経営者は多い。ランチまで営業する必要はあるか否か、経営者は判断に迷っていると聞く。
ブランド価値が高い高級焼肉店ならランチ2500円以上の高価格帯で販売できるならやる価値があるかもしれない。だが、1000円程度の低価格だと割高の原価、網代、水光熱費、人件費などを計算したら採算的に合わない店も多いはずだ。
◆焼肉店がランチ営業する目的は?
ディナーだけで採算が取れている焼肉店なら、無理して昼を営業するより、限りある経営資源をディナーに集中させたほうが経営効率が高く、従業員にもゆとりが出てきて、顧客サービスの質的向上が期待できるだろう。
しかし、①同じ家賃を払うなら時間をフルに使いたい、②ディナーの単価が上がらず採算が取れない、③現金払いが多いランチで資金繰りを楽にしたい、④人を十分に確保しているので攻めの営業で売上向上を狙いたい、という店があるのだろう。
景気が悪くなると、真っ先に削られるのが外食。その中でも単価が高いディナーが最も控えられる。だが、久しぶりに人と会う機会や定期的な集まりがあれば、せめてランチくらいには行こうという人が多いだろう。
飲食業では「重飲食」に該当する焼肉の平均来店頻度は月に1回とされており、単に高いだけでなく、毎日食べるには重たく感じる人は多い。その焼肉を単価の低いランチで食べてもらうのではなく、アルコールも入り客単価が上がるディナーに食べてもらいたいというのが店の本音だろう。
とりあえず、ランチで店の雰囲気と夜のメニューを知ってもらい、夜に誘導するのが店側の狙いなので、ランチだけで満足されたら困るものだ。
◆ランチ営業するメリットとデメリット
町の個人焼肉店で、住居兼店舗など自分の不動産なら、賃料の負担は必要ないが、通常は賃料が必要だ。賃料などの固定費は10〜20%に抑制しなければ採算が合わないのが、飲食店の費用構造である。
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