元109カリスマ店員→週刊誌記者が教える“人から聞き出す力”。「岸田首相は聞くだけ」の問題点
日刊SPA! / 2024年9月9日 8時53分
週刊誌記者として「聞く力」の重要性を説く山田さん
人間関係が複雑化する現代社会において、コミュニケーション能力の重要度はより高まっている。退陣が決まった岸田文雄首相の「聞く力」発言然り、聞く力のない人の評価はどうしても低くなってしまう。そんななか、渋谷109のカリスマ店員から週刊誌記者に転身した山田千穂氏の著書『ずるい聞き方 距離を一気に縮める109のコツ』(朝日新聞出版)が注目を集める。
これまで3000人以上に取材し、一般人から芸能人、政治家などクセの強い人ともコミュニケーションを計り、聞く力を養ってきたという山田千穂氏はその能力をどのように身につけてきたのか。「対象者が話したくなる聞き方も大切」と話す彼女に、岸田文雄首相の聞く力は何がいけなかったのか、聞いてみた。
◆「聞く力」があっても、聞いたことを実行に移さなかったら意味がない!
――令和のMr.「聞く力」と言えば、総裁選への不出馬表明で退陣となった岸田首相です。岸田首相の「聞く力」をどう評価しますか?
山田千穂氏(以下、山田):3年前の出馬会見で、青いノートを誇らしげに掲げコロナ禍で生活に不安を覚える人たちの声を書き留めていると「聞く力」を強調した岸田さんでしたが、正直、「国民の声を聞いている」というパフォーマンスに過ぎなかったのかなと思いました。
「聞く力」には、確かに「聞き流す力」も必要です。ただ、岸田さんにはずっと聞き流されていたと感じる国民が多かったのではないでしょうか。少し気の毒なのは、「聞く力」は評価されづらいので、聞いたことをいかに実行に移したのかをアピールする力が弱かった面もあると思います。
――格差を広げたアベノミクスからの転換という姿勢には、期待した人も多かったはずです。
山田:「これまでの政権が先送りにしてきたことを、まず処理していく」という気概は感じられましたが、「小泉構造改革」や「アベノミクス」などのように、自分の軸となるテーマをもっと強く打ち出してもよかったのではないでしょうか。いつの間にか、岸田ノートも見なくなりましたし(笑)。今回の退陣に際しても、周囲の人たちから「ついて行こう!」「支えよう」と思ってもらえなかった感じがします。
私が岸田首相の「聞く力」に一番疑問を感じたのは、インボイス制度への反対署名を当初受け取らず拒否したことです。「全然聞く気ないじゃん!」ってなりましたよね。漫画家や落語家などの文化人をはじめ、フリーランスなど小規模事業者54万人以上の署名というのは、過去に例がない規模のまさしく国民の声です。最終的には受け取りましたが、結局義務化は強行採決されました。民主主義に反しているのでは? とモヤモヤした人は私だけじゃないと思います。事実、その後に支持率も低下していきました。
――もし山田さんが岸田首相の立場だったら、どう対応しましたか?
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