元「奨励会」35歳男性が“プロ棋士になる道”を断念した理由。友人・若葉竜也の言葉が後の進路を決めるきっかけに
日刊SPA! / 2024年9月23日 8時53分
栗尾:例年、10人前後だと言われています。ただ、私が入った年は25人いました。ちなみに、女子はゼロでした。将棋は男女比がかなり偏っているんですよね。「プロ棋士になれるのは奨励会員の2割程度」と言われていて、それは奨励会の審査前にみんな知らされているんです。
◆26歳までに3段になれないと退会
――それでもプロ棋士を目指すんですね。ちなみに、どういう理由で退会する人が多いのでしょうか?
栗尾:多いのは、ライフステージの節目――たとえば受験や就職活動など――でしょうね。あとは奨励会の規定で、「この年齢のときにこの段位が取れていないと退会」というラインがあるので、去っていく人もいます。奨励会は入会と同時に6級になり、条件を満たせば進級していきます。1級まで行ったら初段、2段、3段と上がって、3段が最高位です。3段になるとリーグ戦があり、半年に一度、2人ずつがプロ棋士になれます。ちなみに原則、26歳までに3段になれないと退会です。
――かなり狭き門ですが、費用は莫大にならないですか。
栗尾:現在は異なっていますが、私が入ったときは、奨励会入会の際に100万円程度を納めて、プロ棋士になれなければ退会時にその一部を返金してくれる制度がありました。敷金みたいですよね(笑)。ただ、奨励会は月に2回行われ、全国から集まるため、遠方の人の場合は費用もかなりかかったと思います。
◆中3で初段まで行ったものの…
――栗尾さんは、どうしてお辞めになったのですか?
栗尾:私は素行がよくなくてですね(笑)。記録を取るときに眠くて寝てしまったり、それを先生に叱責されればふてくされたり。今考えるとだめですよね(笑)。
辞めたもっとも大きな理由としては、自分なりのけじめの意味もあったと思います。私は入会後、わりとすんなり進級することができて、中3で初段まで行きました。しかしそこから先が全然進まなくて。先生から、「これ以上停滞するようなら、辞めるつもりで将棋を指さないか」と言われてしまって。おそらく私を鼓舞する意味で言ってくれたのだと思いますが、そのまま上がることができずに退会しました。
――奨励会の日々は、栗尾さんにとってどんな思い出ですか?
栗尾:結構みんな仲が良くて、同じ将棋を愛する仲間だし、楽しかったですよ。そもそも将棋自体がすごく楽しいんです。負ければかなり精神的に削られるし、落ち込むんですが、それでもまた指したいと思えます。みんな基本的に将棋の話をメインにするし、まっすぐだから、一緒にいられたのは良かったですね。将棋を直視し続けられた経験は、自分のなかで大切なものです。
この記事に関連するニュース
-
将棋の女流アマ名人戦 井澤早紀さんが初優勝
スポーツ報知 / 2024年11月24日 17時14分
-
【道場へ行こう】報知記者が「日本代表」で国際将棋トーナメントに参戦 思わぬ出来事に心が救われる経験も
スポーツ報知 / 2024年11月18日 10時0分
-
誕生から50周年 将棋・女流棋士“第1号”が後輩に期待すること
毎日新聞 / 2024年11月17日 7時0分
-
J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会 全国大会、優勝は関西代表の中3・木村くん
マイナビニュース / 2024年11月10日 8時0分
-
竜王戦初取材!人気作家 白鳥士郎氏から見た藤井聡太と佐々木勇気
マイナビニュース / 2024年11月7日 11時0分
ランキング
-
1品川イオンスタイル「最強フードコート」の実態 太っ腹にも程がある?自由すぎる食のスポットだ
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 12時0分
-
2コンビニ大手3社の「肉まん」「高級豚まん」を実食。この冬に食べるべき“コスパ圧倒的”の肉まんは
日刊SPA! / 2024年11月24日 15時52分
-
3煙草を「のむ」ってわかりますか?古い注意書から気付かされた日本語の変化
よろず~ニュース / 2024年11月24日 12時10分
-
4とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
5ナッツを食べると認知症予防になるのか…理想は1日30g
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月24日 9時26分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください