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4割が“赤字”経営…「美容室」の倒産が急増。節約志向の高まりで客単価減の現実

日刊SPA! / 2024年10月16日 8時53分

 カットやカラーなどで滞留時間が約1.5時間かかるだけに店の雰囲気も重要だが、やはりいかに安く済ませるかが重要で、お客は予約サイトやアプリで割引率や付加サービスでお得感あるクーポンを探すのに必死のようだ。

 美容師を指名する際、指名料金が必要か否かも店の選択に重要な要素だ。美容センサス(2023年度)によると、美容室における女性客の単価は前年と横ばいで7293円、年間利用回数はコロナ禍から回復の兆しがあり、4.32回となっている。

◆収入減で美容師の現状も厳しい

 美容師の現状も厳しいようで、思うような収入が得られていないのが実情だ。美容師と雇用契約を締結しない美容室も多く、船井総研の調査によると美容師のフリーランスは全国で8万人(2020年)。美容師全体の人数が約54万人だから、約15%の美容師がフリーランスである。

 しかし、フリーランス美容師のほとんどはコロナ禍の売上急減で苦しんでいるように思える。筆者が支援をしていたある方は、確定申告書を拝見したが、その収入の少なさに驚愕した。仕事が激減したために生活費用が捻出できないくらいに収入が減った窮状を目の当たりにした。

 美容院の倒産だけでなく、フリーランス美容師の廃業も深刻な問題だ。ある男性美容師は、老人ホームへの出張サービスや訪問カットで何とか生計を立てているが、先行きの不透明感から不安で仕方ないと嘆いておられた。

◆美容業界の人手不足は常態化

 美容室の人手不足は常態化しており、10年以内の離職率が90%とも推計されている。約8割の美容室で常に人手不足である。ハローワークによると、美容師の有効求人倍率は5.66倍(2022年)で、全国の有効求人倍率(パートを含む)の1.39倍の約4倍と高い状態だ。

 美容師は労働時間も長く、休日も少ないなど、サービス産業の中でも劣悪の労働環境の店が多い。美容専門学校を卒業して入った店で、勤務が終了しても技術力向上に向けた練習をしなければならいなど拘束時間が長い。筆者が以前入居していたビル内にも、美容室があり、学校を卒業したばかりの新人さんが夜遅くまで練習していた。

 修業期間は平均10年間で、それを終えた後、店舗を構えて独立するか、自分の裁量で働くフリーランス美容師になる人が多いようだ。美容師は資格を取ったらすぐに施術できる訳ではなく、下積みとして知識・経験・技術・コミュニーケーション能力を蓄積することが必要で、それらが備わって初めて活躍の場が与えられる。

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