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「煙草は一日1.5箱」生活保護を受給する58歳男性漫画家が「後悔はない」と語る理由

日刊SPA! / 2024年10月29日 8時52分

「煙草は一日1.5箱」生活保護を受給する58歳男性漫画家が「後悔はない」と語る理由

加藤さんの自宅の部屋

 なりたい夢があっても食っていけるかわからない。そんな狭間で多くの人が道に迷う。カルト的人気を誇る漫画『国民クイズ(作画)』や『バカとゴッホ』などの作品で知られる漫画家・加藤伸吉さん(58歳)は、今年から生活保護を受給して生活している。それでも漫画という道を選んだことに後悔はないと語る、その理由とは――。
◆生活スペースは「半分以下」に
 
「部屋、本当に汚いよ。シャレにならないくらい。いいの?」
 
 連絡がつながらず、自宅にダメ元で伺うと、突然の訪問に戸惑いながらも部屋へ通してくれた。加藤さんは、都内の下町にある生家で、一人でひっそり暮らしている。
 
「1年前にね、この家に戻ってきたんだ。居候していた仕事仲間のところを追い出されたから、行く当てもないから仕方なく。『家に帰ったら負けだ!』と思って出ていったのが30年前。いろんな記憶が蘇ってきて嫌だね。ここでね、おとんとおかんと妹と、4人で暮らしていたわけよ」
 
 3LDKの自宅は、ゴミや壊れた家具家電が散乱し、生活スペースは半分以下になっていた。酒のせいで家具家電に八つ当たりし、朝にごみを出すのも億劫になってしまったのが原因だという。
  
◆父ちゃんはここで孤独死した

 リビングのダイニングテーブルの上には、母親の遺骨が置いてあった。

「母ちゃんが3年前の2021年に死んで、父ちゃんはその前に死んだ。いつだったかな。居間の真ん中でミイラ状態で出てきて、孤独死だね。異臭がするから近所の人が通報して、警察から連絡がきて発覚した。飯食わないで自殺同然だったと思う。部屋に遺体のシミがあったから、自分でホームセンターで材料を買って床板を交換したんだよ」
 
 ちぎれた写真の欠片を見せて、こう続ける。 

「これが父ちゃんね。写真はムカついて破っちゃった。確執あったから。母ちゃんを殴る暴力オヤジ。年取っても夫婦二人で住んでたけど、母ちゃんがあるとき、暴力に耐えられなくて逃げ出したんだ。だけどさ、確執があったとはいえ、ここにいると家族が仲良かったときを思い出してしまうよね。

 母ちゃんはそこの台所で料理してて、父ちゃんが帰ってくると、妹と一緒にプロレスごっこしたりして。いつだったか、テーブルで父ちゃんとスーパーで買った寿司を二人で食ったんだよね。それが、ここで家族で過ごした最後の思い出。戻ってきた当初は、そういう情景が亡霊がいるかのように浮かんできてしんどかった。最近、やっと落ち着いてきたわ」
 
◆電気代も払えず、生活保護を受給
 
 そんな加藤さんだが、昨年2月から生活保護を受給しているという。受給額は7万円。
 
「生活保護はやっぱりね、抵抗があったよ。負け組じゃないかって。でも友達に『抵抗を感じている場合じゃないよ』って言われて、これが俺の現実なんだってわかった。実際、もうシャレにならない状況だったから。電気とガスは一年くらい通ってなかったし、夜は単三電池式のランタンを点けて生活して、シャワーは冷水で。水だけは死守したけども」 

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