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「煙草は一日1.5箱」生活保護を受給する58歳男性漫画家が「後悔はない」と語る理由

日刊SPA! / 2024年10月29日 8時52分

 生活保護の受給前は、ブックオフに本やCDを売って、日銭を稼いでいた。
 
「毎日、馬鹿みたいにブックオフ通って、売っても200~300円とか、二束三文にしかならないよ。大事なスティーリー・ダンっていうアメリカのロックバンドのアルバムアナログも売っちまって。でも1800円ももらえたから、うれしかったなー。地元のタメくらいの不良おっさんと河原で酒を飲みながら『今日なんぼ売れたんだ?』って話したりして。そのおじさんも生活保護者になってたわ。
 
 メシは、フードバンクを利用したりしてね。あと、働いたりもしたよ。生活保護もらいに役所に行ったら、暮らし相談室の人に『まずハローワークいこう』と。かったるいなと思いながら、タワマンのゴミ清掃のバイトやったけど、6日でやめた。漫画の取材だと思ってがんばろうと思ったんだけど、体がついていかなかったわ。帰ってきたら倒れるように寝てた」

◆劇中画を担当するも「引き受けるんじゃなかった」
 
 直近の大きい仕事は、1年前。実際の障害者殺傷事件を題材にした原作の映画『月』で、劇中画を担当した。植松聖死刑囚にあたる、磯村勇斗さんが演じる青年が描く絵だ。植松聖死刑囚は、絵が得意だったことで知られる。
 
「いままで映画に携わったときは、告知してたけど、今回はあんまり胸を張ってやりましたって言えなかったよね。久しぶりの仕事でありがたかったけど、作業しているときは、引き受けるんじゃなかったって思った。頼まれた仕事とはいえ、やっぱり拒否感があったから。
 
 植松(死刑囚)が書いた絵とか大嫌いだし。いろいろ資料をもらいましたけど、これを真似して描くのは絶対嫌だった。一番マネしたくなかったのは、ブッダみたいな宗教家もどきの画。なにも信仰もないのに、宗教画を迂闊に描くのは冒涜だよなって。

 あと印象に残っているのは、顔の目ん玉が崩れるようなやつ。わざと狙ってんだろうけど、生理的に嫌いです。最終的には、犯人に憑依するんじゃなくて、いかにいい絵を描くことだけに集中してやりました。模造紙3枚分の大きい絵と紙芝居を書いて、3か月かかったかな。

 ただ、植松の絵は下手ではない。線とかちゃんとしてますよね。ある種、頭のいい絵だと思うんですけどね。責任能力のある人の絵だと思いますよ。もしかしたら裏事情を知らなかったら、拒否感はなかったかもね。
 
 磯村勇斗さんが絵を描いているシーンは、俺の動きを真似してくれて。俺が使ってたホワイト(修正ペン)で点を打ったり、テイッシュペーパーでたたいたり。作品を見るまでは、事件の犯人像しかないから、しんどかったんですね。でも、見たら考えさせられるいい作品でしたよ。植松が俺の絵を見たら? 僕より上手いって言うんじゃないですか。さすがって」

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