「降りろバカヤロー」停車中に中国人男性2人に囲まれてパニック急発進した被告人が“実刑判決”となったワケ
日刊SPA! / 2024年11月7日 8時52分
東京地方裁判所/筆者撮影
今年1月、東京都大田区内の幹線道路で交通トラブルになった男性をボンネット上に乗せて176メートル走行し転落させるなどした、殺人未遂と傷害の罪に問われた被告人A(28歳男性)の裁判員裁判の判決公判が10月29日、東京地裁(江口和伸裁判長)で開かれた。
10月15日の初公判で、Aは事件当時、交通トラブルに発展していると気づかず、赤信号で停車中に中国人の男性2名から「降りろ」などと迫られたことで「ヤクザ」だと思い込み、「パニックになってしまって犯行に及んだ」などとして、誤想過剰防衛などを主張していた。
◆“車線変更”が事件のきっかけに
検察側の冒頭陳述によると、事件の発端はAの車線変更をめぐる交通トラブルだという。現場は、交通量の多い3車線道路。Bさんの車が中央車線を走行していたところに、右車線を走行していたAの車が十分な車間距離を取らずに車線変更した。
BさんがAの車を避けようと左にハンドルを切ったところ、路上で駐車していたCさんの車のドアミラーと接触。BさんはAの車を追跡し、CさんもBさんの車を追うように走行した。
Bさんの車はAの車の前に入り込むなどしたが、Aは隙間を抜けてアクセルを踏んだ。その後、赤信号で止まったところで、Bさん、Cさんの車が後に続いて停車。BさんとCさんは車から降りて、Aがいる運転席側にまわり、降りてくるよう説得しながらドアノブを数回引いて窓を叩いた。
しかし、Aが降りてくる様子がなかったことから、Cさんは中央分離帯に移動して110番通報。Bさんは、Aの車の前に立ちふさがったままだったという。
青信号に変わり、AはBさんを避けながら発進しようと、左にハンドルを切った。だが、Bさんは瞬時に左側へ移動。そこで、Aは右にハンドルを切ったところ、突然制止しようと中央分離帯から飛び出してきたCさんに衝突。その後、Bさんにも衝突し、Bさんがボンネット上にうつ伏せの状態で身を乗り上げたまま、176メートルも走行したところで転落。この時、最大で時速約64kmものスピードだったという。そのまま、Aの車は走り去っていった。
◆被告人が「過剰な防衛をしたのか」も争点に…
10月15日に開かれた初公判で、Aは起訴内容の一部を否認。弁護側も、Aは交通トラブルになっていたことに気づかず、Bさんらは事件当時「降りろ」など威迫してきたことから、被告人が「ヤクザ」などと勘違いし自身を防衛しようしたところ、誤って過剰な防衛行為をしてしまった「誤想過剰防衛」で減刑を求めた。
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