「降りろバカヤロー」停車中に中国人男性2人に囲まれてパニック急発進した被告人が“実刑判決”となったワケ
日刊SPA! / 2024年11月7日 8時52分
また、Cさんへの衝突については「急に飛び出してきたため、回避は困難だった」として、無罪を主張した。
「ヤクザか半グレなのかなと。早くここから去りたいと思っていました」(被告人質問から)
さらにAは、Cさんが道路中央の安全帯に立って携帯電話で電話している姿を見て、「仲間を呼んでいると思った」と振り返る。ただ、実際はBさんとCさんは赤の他人。Cさんは110番通報をしていただけなのだ。
一方で、検察側は冒頭陳述で、Bさんらは「Aを威迫するほどの大声を発してはいない」と述べた。第2回公判ではBさんが証人として出廷したが、この際も「私は、日本語で『事故が起きましたので降りて下さい』と言いました」と証言。Cさんも「降りろ」などと命令する言葉を発していないと証言した。
だがこれに反して、筆者は法廷内の大型モニターに映し出された、後続車のタクシーのドライブレコーダー映像から「降りろ、バカヤロー」という声をハッキリと耳にした。さらに、目撃者のEさんは証人尋問で、Bさんの当時の様子を「少し怒ったような口調だったと思います」と振り返っていた。
◆判決の結果は…
そして10月29日、保釈中だったAは、収監を見越してか白い紙袋を2つ手に持ち、スーツ姿で法廷に現れた。手に持っていた白い紙袋は、荷物がパンパンに詰まっているようで重たそうだ。入廷時は覚悟を決めたのだろう、真剣な顔つき。
6分遅れて、午後3時6分に開廷。Aは証言台前の椅子に背筋を伸ばして座っている。すぐさま、江口和伸裁判長は大きな声で判決の結論にあたる「主文」を言い渡した。
「主文 被告人を懲役5年に処する。未決勾留日数中80日をその刑に算入する」
江口和伸裁判長は、「犯行態様は危険性が高く悪質なものというほかない」として、懲役5年(求刑:懲役7年)の実刑判決を言い渡した。その瞬間も、Aは表情を変えることなく、まっすぐ裁判官の方を向いていた。
◆殺人未遂罪と傷害罪を認定
判決で認定された事実は次のとおり。
今年1月25日午後7時50分頃、東京都大田区内の環状八号線の路上において、30代の中国人男性のBさんに対して、Aの車の前にBさんが立ちふさがっていることを認識しながら、Aは殺意をもって、あえて発進して衝突させた。そしてBさんをボンネット上に乗せたまま、少なくとも時速57kmまで加速させ、約176m走行。その後、Aはハンドルを急に右に切り、Bさんをボンネット上から路上に転落させ、右ひざを骨折するなどの全治2か月の重傷を負わせた(殺人未遂罪)。
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