中村敬斗と三笘薫の突破に見る、サッカーにおける「ブロックプレー」の有用性
日刊SPA! / 2024年11月15日 15時48分
例えば、現在日本代表が戦っているアジア最終予選などは良い例だ。今や日本はアジアトップレベルの戦力を有する国の1つとなった。代表選手のほとんどが海外組。イングランドやスペイン、ドイツ、イタリアといった列強国の1部リーグで主力を張る選手たちで構成されるチームの実力は、アジアレベルのそれではない。従って、圧倒的にボールを保持して相手陣内深くに押し込む時間が長くなる。守る相手国側は意図している・いないに関わらず、自陣に引いて守ることになるので、ゴール前のスペースは極めて狭くなる。
こうした状況を切り崩すのに有効な攻撃法の1つが、サイドからのクロスボールだ。比較的スペースができやすいサイドからゴール前にボールを送り込み、前線の選手が頭で合わせるか、またはその競り合いのこぼれ球を狙う。相手よりもサイズやフィジカルで上回れていれば、この攻撃を繰り返すことで得点を奪える可能性が高い。
しかし、先月対戦したオーストラリア代表のように、高さのある相手にはそうもいかない。現に日本も、ゴール前へのクロスボールを幾度となく跳ね返された。
そうなると鍵となるのが、相手陣内深い位置でのコンビネーションだ。複数の選手が連動して相手を動かす、あるいは相手の動きを制限することで突破口を切り拓く。中村と三笘が見せた崩しは即興的なアイディアによるものだったが、連動して局面を打開した典型的な例だ。ブロックプレーをきっかけにサイドを抉(えぐ)ってゴール近くまでボールを運べたことで、大外から放り込むクロスに比べて遥かに確度の高いチャンスを作ることに成功した。中村や三笘といった選手たちのドリブル突破は、もちろんそれ単体でも局面を打開できてしまうほどの素晴らしい武器だが、味方と連動することでその破壊力はさらに倍々に増す。中盤からゴール前にかけてのスペースがどんどん少なくなってきている現代サッカーにおいて、ブロックプレーも有効な局面打開の手段となり得るはずだ。
◆様々な示唆に富んだ、フットサルでの事例
そうは言ってもサッカーで、しかも流れの中でブロックプレーを意図的に行うのは難しくないのか? そう感じた方も多いだろう。確かに、上記したハンドボールなどに比べれば、サッカーは手よりも精度で劣る足を使う分、ドリブルやパス回しの流れの中にスムーズにそれを組み込むのは難易度が高い。しかし、サッカーと似た球技であるフットサルにおいては、実は流れの中でも頻繁にブロックプレーが使われているのだ。
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