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「障害は個性ではない」。吃音を持つ開業医が伝えたい“あきらめずに悪あがきすること”の重要性

日刊SPA! / 2024年11月19日 8時52分

「障害は個性ではない」。吃音を持つ開業医が伝えたい“あきらめずに悪あがきすること”の重要性

「目黒の大鳥神社前クリニック」北村直人院長(53歳)

◆内視鏡検査のスペシャリストに
――アメリカ、イギリスへの留学から戻り、がん専門病院の健診センターで医長を務めた後、2019年に、念願の夢だった自分のクリニックを目黒区に開業した北村氏は、東京都でもいち早く新型コロナウィルスの発熱外来を開き、地域医療に貢献した。発熱外来のために、本来の人間ドック・健診の自粛を続けていることもあり、病院経営は決して楽ではなく、クラウドファンディングをした時期もあったが、今年で開業5年目を迎える。

北村:吃音が原因で、患者様が離れたこと もあります。ただ、私は吃音があった影響で、大学病院に助教として所属中、大学の関連病院に週3~4回ほど、外来や内視鏡検査で外勤が割り当てられたのですが、医局長の采配で私には外来ではなく、内視鏡検査の外勤のみが充てられました。内視鏡検査の実績は早くから数多く積むことができました。内視鏡検査は医師1人で行い、検査中に話す必要もないため、吃音は問題になりません。吃音が出なければ、何の症状も出ないのです。

ポリクリ実習でも、外科や眼科の実習で、手先が器用だと言っていただけることが多かったのですが、勤務先のスタッフから、先生は上手ですね、器用ですねと言ってもらえることも多く、ある健診クリニックでは、「(鎮静剤を使わないために、)いつもはつらいのに、先生の検査だとつらくないので、次回から先生を指名したい」と言って、翌年から私を指名してくださる方々が増えたり、ある病院では、就任して2~3か月たったころに、「今度の先生の大腸カメラはつらくないと聞きました」と遠方から検査を受けにきてくださる方が何人もいらっしゃいました。

有明病院の健診センターでも医長を務めさせていただきましたが、残念ながら、開業後、外来での検査の説明で吃音が出たことで、検査のカメラが不安だと、キャンセルされたことがあります。しゃべらなければ吃音は出ないですし、けいれんなどが起きるわけでもないのですが、残念に思います。

◆開業することは本当に大きな賭けでした

――それでも開業に踏み切ったのは、北村氏にとって「大きな賭けだった」という。

北村:吃音のある私にとりまして、出身大学である慶應義塾大学の医局に属しながら、その関連病院で働くことは、いろいろな意味で医局に守っていただけていました。中には、身体障害者扱いされたケースもありますが、実際に試しで申請してみたところ、身体障害者と認定されたわけですから、事実を言われていただけと言えますし、大抵は、医局の先輩方が私の吃音、コミュニケーション不足を補ってくださっていました。

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