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「障害は個性ではない」。吃音を持つ開業医が伝えたい“あきらめずに悪あがきすること”の重要性

日刊SPA! / 2024年11月19日 8時52分

こうしたことで、コミュニケーションが難しくなり、うまく気持ちや考えが伝わらなかったり、間違って取られたりします。勢いづけるとどもらずに済むケースもあるのですが、勢いづけると、声が大きくなりがちで、内容によっては、威圧的に取られてしまいがちです。また、息継ぎをすると、息継ぎ後は、また、言葉の出だしとなるため、どもる可能性が出てしまうため、何とか、息継ぎ前に多くを話そうとして、早口になりがちです。このため、幼少時には、親族から、活発に話す兄や従弟と比較され、「あんたは無口で、根暗やなあ」とよく言われました。

◆事前問診の導入は不可欠だった

――中学や高校は兄や親戚とは違う学校であったため、学校の共通の話題に入れないということもあったという。

北村:話そうと思っても、最初の言葉が出せないため、「ま、いいや」となって、会話が少なくなってしまいます。私と友達になってくれる友人らは、いい輩が多いな、と思っているのですが、もしかすると、吃音がある私を受け入れられる方々だけが友人となってくれていて、選抜されているのかも知れません。

吃音に関する対策の1つとして、毎月数万円をかけて、WEB問診、WEB予約などを開院当初から導入しました。事前の問診がないと、症状を聞く際に、毎回吃音と戦う必要があり、吃音がひどいと、問診が進まず、診察がすすみません。事前問診を導入することで、いつ頃から、どういう症状があるのか、どういう検査が必要そうか、どういう検査を希望されているか、既往歴はどうか、家族歴はどうか、薬はどうか、など情報を得ることができます。WEB問診を導入することで、受診する本人の調子が悪い場合でも、ご家族が事前に詳しく入力することもできます。

事前問診があるかどうかで、吃音がない医師にとっても、メリットは大きいと思いますが、吃音がある場合、無駄に発語と戦わなくても、必要な情報が得られることができ、問診で足りないことを補足的に質問すればよい、ということになり、負担が大きく減るということは、吃音がない健常者には到底理解できないことのようで、受付から問診をお願いしてもらっても拒絶される方は少なくなく、拒絶されるからか、受付も、はなから問診の案内をしない、ということも多々あり、どうやって吃音という障害を克服する形で外来をこなしていくか、悪戦苦闘しています。

◆吃音がない人の感覚は想像できない

――吃音という障害の難しいところについて北村氏は「吃音が出ない場合も多々あり、吃音が酷い場合には話ができないだけでなく、顔がゆがんだり、外見的にも酷い状態になることがあるものの、どういう場合に吃音が出るか、出ないのか。他人はともかく、本人すら分からない」という点だと続ける。

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