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タイに渡って大麻農家になった男の挑戦。「堂々と大麻を栽培して吸うのが夢だった」

日刊SPA! / 2024年11月26日 15時48分

 これにより、種から育てる時間が省けるとともに、優秀な株を広げられる。水まきは一日に1回で、植物に合った温度で与えるという鉄則もそのまま生きる。大麻の場合、それは25℃前後だ。

 収穫した大麻を乾燥させる際は、栄養をしっかり実に落とすため、米と同じく花穂を下に向ける。培った技術を転用したうえで、試行錯誤も欠かさない。

「ココナッツを砕いたココという土が水はけが良くて、大麻に合うとわかりました。うちはオーガニックなので、どうしても生産量にムラが出てしまう。だから、収穫を上げるために挑戦が必要なんです」

◆渡航1年で大麻コンテスト最優秀賞に

 こうして手塩にかけて育てられたdoscoiさんの大麻は、タイ在住の日本人だけでなく、欧米の旅行客からも大好評。

 昨年11月にバンコクで行われた大麻コンテストでは、客が選んだ最優秀作品の1位に選ばれた。

「来場者から『吸ったときにむせない』『のどにつっかえない感じがイイ!』と評価してもらえました。実は、僕もそこを狙って作っているので。うれしかったです」

 月の売り上げは、観光客が多く集まる乾季だと50万バーツ(約225万円)にも上る。ただ、経済成長著しいタイでは物価も高騰している。

 電気代は日本より割高で毎月8万バーツ(36万円)もかかり、総経費は30万バーツに上る。

「今、タイには世界中から大麻で一攫千金を狙おうと腕利きの大麻農家が進出していて、競争も激化。そもそも供給過多で、相場も値崩れしています。そんな中で戦えているのは、いろんな人に恵まれてこそ」

 長く伸びたあごひげを触りながら、doscoiさんは今日一番の笑顔を見せてそう話してくれた。

◆「自由に大麻栽培したい」同じ思いの後進支援へ

 楽な稼業ではないようだが、doscoiさんを5人のスタッフがサポートする。そのうち1人は、ミャンマーの山岳民族の女性だ。

「彼女には、給与の半分を家族に仕送りできるほどの報酬を支払えています。ミャンマー出身者は、タイでは給与の安い仕事ばかり回される。大麻産業が、こうした人たちの雇用の場となっているんです」

 doscoiさんは10月、日本人の栽培者やショップ店員の育成やビザ、ライセンス取得の支援を目的とした協会を立ち上げた。

 大麻に関心がありながら、法規制でがんじがらめとなっている“かつての自分”のような日本人のタイ進出を応援したいという思いからだ。

「非合法の日本では、押し入れで育てたり、吸うにしてもこっそりとやらなくてはいけない。過去の自分もそんな鬱屈した思いをしてきたので、タイで大麻を仕事にして、解放的に楽しんでもらいたいんです」

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