J2優勝“翌シーズン”にJ1優勝争いのFC町田ゼルビア。黒田監督が「たった2年でトップチームに押し上げた」2つのこと
日刊SPA! / 2024年11月30日 8時52分
黒田:いやいや、そんなことは微塵も考えていませんでした。青森山田は毎年のように多くのプロ選手を輩出してきました。そんな選手たちがプロに行っても通用するためには、もっとサッカーに関する深い知識や経験を身につける必要があると感じ、ライセンス取得を目指したのです。
水野:結果、その資格が52歳で活かされることになるわけですね。まさに2023年からFC町田ゼルビアの監督に就任するわけですが、50歳を超えて、しかもより厳しい世界へのチャレンジに不安はなかったのでしょうか。
黒田:2021年に全国高校サッカー選手権で優勝し、青森山田は一年で全国3冠を達成しました。そのとき自分の指導人生に一区切りついた気がしたのです。
心にポッカリ穴が空いたというか、たった一度の人生なので、もっと高いレベルで挑戦してみるのも自分らしい人生だし、「絶対に後悔のない人生を送りたい」と、微かにそんな気持ちが芽生えるようになってきていた、ちょうどそんなタイミングに届いたのがゼルビアからのオファーでした。
チームは長年に渡りJ2やJ3を行き来していて、なかなか念願のJ1に上がれない状況が続いていました。「クラブを大きく変えたい」「なんとかJ1に参入したい」。そんなゼルビアの思いを強く感じオファーを引き受けることにしたのです。
ただ、これまで約30年かけて一から作り上げてきた青森山田を手放すのも、可愛い選手たちを置いていくことも、本当に辛い決断であったことは間違いありません。私もある程度年齢を重ね、監督の役職を教え子(コーチ)に受け渡していくタイミングでもあったと思います。
水野:そして就任してすぐに監督の予想通り、チームは大きく変わり結果を出すことができました。
黒田:それはもう私の力というより、メンバー、スタッフ全員が「みんなで取り組めばJ2での優勝はできるんだ」「J1昇格を勝ち取ろう」という強い思いが一丸となったからだと思いますね。
◆◆「負けない」思考を重ねて「勝ち」を積み上げた
水野:監督に就任された当時、チームは良い状態とは言えなかったと思います。立て直しをどのようにはかっていかれたのでしょうか。
黒田:そもそもチーム組織とは「何のために存在しているのか」をまず再確認しました。当然ですが、チームは目的や目標達成のために存在しています。ゼルビアではJ1昇格ではなく、「J2で優勝するためにチームは存在する」という目的意識をしっかりインプットさせました。
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