冬の屋外で2時間謝罪、車で轢かれそうに…“想像以上にヤバイ”現場のカスハラの実態と今後
日刊SPA! / 2024年12月15日 8時52分
「ほかにも、『勝手に写真を撮られたり、テーブルに行くたびに腕を触られたり、常連さんだと思って話しかけたら腰に手を回されたりした』というように身体を触られたり、画像や動画を勝手に撮られたりするなど、現場では法に触れる犯罪行為も多く発生しています」
そして、「女のくせにと暴言を吐かれ、後日木刀を持って再来店。暴言を吐かれた」「購入した鍋の具材に不良品があったと連絡があり交換に向かうと、排水溝に捨ててあった具材を水切りネットから取り出し、問題がないか食べて確認させられた」という事例もあるという。
◆カスハラの深刻な影響と世の中の動き
記事中で紹介したカスハラ事例の内容も相当なものだが、「その場だけで終わらないのも恐ろしいところ。カスハラを受けた本人、そしてその現場を目撃した従業員や顧客に与える影響についても深刻です」と、波岸氏は懸念する。
「カスハラを受けた本人だけでなく、現場にいた従業員も自分が顧客と接するときに激しい動悸やストレス・不安を感じるケースもあります。また現場を目撃した顧客が嫌な気持ちになり、『あの店には行きたくない』と考えて足が遠のいてしまうこともあるようです。こういった状況を受け、2020年6月に改正労働施策総合推進法が施行されました。同法では、顧客などからの暴行・脅迫・ひどい暴言・不当な要求などの著しい迷惑行為に対し、事業主が行なうことが望ましい取組の内容が規定されました」
東京都カスタマーハラスメント防止条例も含め、現時点でカスハラに対する罰則はないが、「こういった世の中の動きが、顧客が自らの言動に注意したり、安心安全な職場づくりに向けた企業による取り組みの後押しにつながったりしているようです」と波岸氏は言う。
「こういった社会喚起や企業労使の取り組みの成果と推測できる結果は、我々がおこなったアンケート調査でも出ています。たとえば直近2年以内で迷惑行為被害にあったことがあるかというアンケートで、2020年度の調査結果は56.7%の人が『あった』と回答していました。しかし2024年には46.8%と減少しています」
◆悪循環と想像力の欠如が背景に
波岸氏によるとカスハラ加害者のなかには、自身が過去にお客から酷い対応をされたことがキッカケとなり、「自分が客のときには同じように主張したい」などと考えて振る舞ってしまった人もいるようだ。
「ただ、これはアンケートを取った段階で、カスハラ行為をしたときにどういう状態だったのかを思い出してもらった結果。カスハラ行為の前にこういったはっきりとした気持ちがあったわけではなく、気づいたときには加害者となっていたケースも多いでしょう」
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