1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「お化けだ」「気持ち悪い」生まれつき“顔のアザ”に悩んだ男性が語る半生。精神疾患になる人も――仰天ニュース傑作選

日刊SPA! / 2025年1月4日 15時45分

 石井氏は1999年3月に『顔面漂流記: アザをもつジャーナリスト』(かもがわ出版)を出版する。

「外見の問題からくる差別や心の傷は日本では放ったらかしでした。本を書こうと思ったのは誰もアザについて書いている人がいなかったからです。本には葉書がついていました。担当編集者に『1通きたら100人の人が読んでいると思いなさい。初版3000部だから30通きたら大成功』と言われました。しかし、私の自宅には、手紙が何百通も届き、編集者は驚いていました」

 その内容は、外見の問題で自殺した人の遺族やひどいやけどを負った人、生まれつき髪の毛がないなど、深刻なものが多かった。「一緒にお茶飲みくらいではすまねえな」と思った石井氏は、任意団体ユニークフェイスを立ち上げる。

◆アザがあっても女性と交際していた

 顔の問題は「モテ」にも直結する部分があるが、恋人などはできたのか。

「こういう顔をしていると女のフィルターをかけやすいです。嫌悪感を持つ人は寄ってきませんから」

 そんな石井氏は後に離婚するものの結婚もし、子どもが2人いる。結婚前には、2桁の女性と付き合ったという。

「2年で一人つきあって別れる。20年経って40歳をすぎれば2桁はいくでしょう。子どもに遺伝するのではと、子どもを作ることを怖がる人がいますが、心配いりません」

 単純性血管腫の当事者の話も聞き、論文も読んだが、遺伝は確率的にほぼゼロだと断言する。「ほかの先天性の疾患になる可能性まで考えたら、気にする必要はないです」。

◆若い当事者たちに伝えたいこと

 現在はピアサポートや当事者会を開催する石井氏。顔のアザで差別を受け、精神疾患になっている人もおり、深刻な内容が多かったという。

「18歳を過ぎて社会に出てからは周囲も大人ですから、礼儀作法を身につけている。トラブルらしいトラブルはなかったです。私は普通に生きていますが、若い世代の当事者は、1人ぼっちで考えている。だけど、できる範囲でいいから、顔と名前を出して、この問題を発信していって欲しい」

 そんな石井氏は人生を旅だという。

「人生、1回きりだと思っているし、志半ばで死ぬ人もいます。60歳までに『顔面バカ一代』の続編にあたる単行本を出版したいのと、死ぬまでに100人の当事者の人生をインタビューと寄稿文でまとめた『ユニークフェイス生活史』という書籍を出したいです」と非常に前向きだった。

<取材・文/田口ゆう>

【田口ゆう】
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください