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オフィスの窓から飛び降りて、障がいを負った33歳女性が語った「壮絶半生」と「今、伝えたいこと」

日刊SPA! / 2025年1月13日 8時53分

 でも、ちょっと体を動かそうとしただけで走る激痛で、『あ、私。飛び降りたんだ』ってジワジワ実感していって。痛みで首の向きひとつ変えられないレベルでした」

 この騒動を、周囲の人たちや涼音さん自身はどう受け止めたのか。

「両親はもともと放任主義なんですが、私が精神を患っているのは知っていた。ショックだったとは思うんですけど、『これ以上は悪いことはないから。こういう転機は人生にはある。きっとこれからいいことあるよ』と前向きな言葉をかけてくれたのをよく覚えています。

 私自身は、もう辛い思いをしてまで会社にいかなくていいんだって安堵はありつつ、医者からは『最悪、一生寝たきり』と言われたときの絶望感は大きかった。処置してくださった方や家族にも失礼だとは思いつつ、『退院したら死のう』って本気で思ってました」

◆涼音さんを支え続けた“人形”の存在

 そんな胸中にあった涼音さんを救ったのは、彼女の人生にずっと根付いてきた人形だった。

「幼少期から人形のコレクションをしてたんです。とくにかわいいトイ系が大好きで、体が異様に小さいブライス人形なんかも好み。美術系の高校に身を置いてからは、アンティーク系の人形をモチーフにした油絵もよく書いていました。

 美大もグラドルの仕事も辞めた20歳のころに、『せっかく自由な時間ができたんだから、ずっと好きだった人形をつくってみたい』と思い立ったんです。有名な人形作家の吉田良さんが出していた技法書を買って、そのまま独学で人形づくりを学び始めました」

 就職後、飛び降りにいたるまでも、涼音さんは趣味での人形制作を続け、SNSへの作品投稿などもはじめていた。

「だからこそ、全身が動かない可能性があると言われたときは、『もう人形がつくれないんじゃないか』という意味で絶望したんです。

 だけど、お医者さんが2カ月間に及ぶ治療を施してくれた末に、足首の関節は動かないけど、手はちゃんと動かせるようになった。『やった! また人形をつくれる!』って気持ちが1番にありましたね」

◆杖を歩く生活になっても「人形制作に支障はない」

 その後、4カ月に及ぶリハビリ生活を送ったが、その施設では涼音さんの制作意欲をさらに増す恩人が現れたという。

「担当の理学療法士さんが、私の作品の写真をみて、『すごくいい!』って絶賛してくれたんです。

『手に職なんやから伸ばすべきだよ。いま休んでちゃもったいない』って、消灯時間の9時を過ぎても、遅くまで作業できるように上の人に取り計らってくれて。こんなに応援してくれる人がそばにいてくれたことは、本当にありがたかった」

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