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オフィスの窓から飛び降りて、障がいを負った33歳女性が語った「壮絶半生」と「今、伝えたいこと」

日刊SPA! / 2025年1月13日 8時53分

 リハビリ施設を出た時点では、左足の関節はまったく動かず、装具で90度にとめる必要があった。右足は力が入りづらく、杖をついて歩く生活に。全回復とは言えそうもないが、涼音さんにとってはたいした痛手ではなかったという。

「飛び降りを機に会社を辞めれたし、もう人形制作に打ち込もうと決めていたので。実際、杖をつく程度なら、制作にはたいした支障はありませんでした。

 それに、飛び降りを経験して『自由にやろう』という気持ちになれたからか、誰かが可愛いと思うものではなく、自分の感情に任せてつくりたいものをつくれるようになってきました。

 それを見た人がどう解釈するのかは本当に自由だと思っているので、感想をもらえるのがすごく嬉しいです。展示会などで私の作品を知ってもらって、そこからさらに人形業界に注目が集まっていくことが、いまは何よりの歓びです」

◆飛び降りなかったら死んでいたかもしれない

 現在は、一般企業で働きつつ、人形作家としても知名度を上げている涼音さん。飛び降り後に通いはじめたメンタルクリニックでは「統合失調症」と診断され、現在は合った薬を服用し、メンタルも安定しているという。

 そんな彼女はいま、33歳。10年経ったいま、飛び降りた経験をどう振り返るのか。

「変かもしれないけど、結果として大きな後遺症もなく生きのびているわけなので、そこまでマイナスなこととは思ってないです。

 逆に、もしあのとき飛び降りていなくて、もっと精神面が悪化していたら、もしかしたら自らの意思で死んでたかも。それくらい、当時は仕事や精神病のせいで苦しめられていたんです。

 だからある意味、そのときの環境をリセットできてよかったなって。グラビアもOLの仕事もだけど、ずっと感じていた『何をやっても上手に歯車が回っていかない』という悩みから解放されたし、実際に好きなことをして生きるきっかけになったと思ってる。

 だから、あくまで私の人生においてはの話だし、周囲の人に心配をかけたのは申し訳なく思っているけど、飛び降りたこと自体に後悔はないんです」

◆自殺する前に何としてでも環境を変えてほしい

 今回の取材でどうしても聞きたかったのは、昨今、自殺者が増えている若者たちに、飛び降りを経験した涼音さんならどう声をかけるかということ。取材時間ギリギリとなったが、涼音さんは最後まで誠実に答えてくれた。

「無理にいまいる場所にい続けた結果『死にたい』って気持ちが増していくのは、『自分には別の居場所がないから、ここでどうにかするしかない』って視野が狭まっている状況でもあると思う。だから、自殺したいって思ったら、その前にまずは何をしてでも環境を変えてみてほしい。

 私の場合は、精神疾患の幻聴の症状のせいでわけのわからないまま飛び降りたっていう、強制的な環境の変え方でした。

 それでも、変わったあとの居場所ではいきいきとやりたいことをできている。だから、もし自殺が頭をよぎってしまった人は、その前にいまいる場所を変えてみる行動をしてほしいと強く思います」

 飛び降りたら、死、あるいは生活に大きく支障をもたらす後遺症が残る可能性も十分にある。そうなる前に一度、一歩引いてあたりを見回し、別の居場所を探すべきなのだろう。

<取材・文/田中慧(清談社)>

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