特殊清掃員がみた「認知症患者のゴミ屋敷」“ならでは”の特徴。「孤独死現場よりもひどい」実情とは
日刊SPA! / 2025年1月15日 15時54分
そういう場合、家主は認知症を患っていることが多いらしく、他にも認知症患者特有の部屋の特徴があるという。
「冷蔵庫の中からお財布が出てきたり、タンスの中からみかんが出てきたり、洗濯カゴにスーパーで買ったこんにゃくが入っていたり、規則性がない散らかり方が特徴ですね。排泄物などもトイレを外していたりと、うまくできていない場合が多いです。ペットボトルにおしっこをして溜めていたり、使用済みのオムツが1か所に大量に積み上げられていたり、セルフネグレクトだった人の孤独死現場に少し近い部分もあります」
そのような環境でよく一人で暮らしてこれたと思うが、親族の方がいくら言っても説得に応じず仕方なく放置してしまっているのだ。
◆清掃の依頼を受けたのに「家に入れてくれないことも多い」
また清掃の依頼を受けて困難に直面することも多々あるという。
「依頼を受けて、我々が現場に駆けつけても、ご本人が家に入れてくれないことも多いですね。そうなるとまずは信頼関係を築くところから始めていかなくてはならない。ご本人も家が荒れていることはわかっていて恥ずかしいから他人を入れたくないという気分や、知らない人に対する警戒心があるのかなと感じます。ご家族と一緒に説得する場合もあります」
認知症患者の家の清掃は孤独死現場の清掃より苦労することが多いという。
「なんとか説得して、清掃に入らせてもらって1日目が終わることもあります。それで翌日家に行って『おばあちゃん、今日もよろしくね!』と入ろうとすると『あんた誰? 勝手に家に入らないで』と言われることもあります。
毎回、『明日は来るからね』『カレンダーに書いておくからね』と伝えるのですが、見ていないのか、『入らないでくれ』と言われたことは何度もあります。ひどいときは、記憶が混濁して、宝石を取った犯人扱いされることもあります。本当に宝石があったのかは不明ですが、記憶が入り混じっているのでしょう」
ただし、警察を呼ばれてしまうリスクがあるため、無理やり入るなどの強行突破は絶対にしないようにしている。
「我々が清掃に入る日は、毎回ご本人の親族やケアマネージャーといった第三者に立ち会ってもらうんですが、立ち会いがいない日もあるので、最近は許可が取れたら自分たちの写真を冷蔵庫に貼らせてもらったりして、なんとか顔を忘れないでもらおうと努力をしています。どうしても家に入れなくて清掃できなかった場合は、お代はいただかないようにしています。そういった場合の人件費はまるまる赤字になります」
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