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八天堂が「くりーむパン」を看板商品に選んだワケ。“倒産危機”から“売上10倍”までの道のり

日刊SPA! / 2025年1月19日 8時52分

八天堂が「くりーむパン」を看板商品に選んだワケ。“倒産危機”から“売上10倍”までの道のり

くりーむパン

都内の主要なエキナカの一角の店舗はもとより、最近では大手コンビニやカフェチェーンのスイーツコーナーを覗くと、大きな八角系のロゴが描かれた“パン”がある。カスタードを定番にさまざま味を展開している、冷やして食べる「くりーむパン」だ。
本商品を展開するのは、広島発の株式会社八天堂。同社はクリームパン一つで、広島から東京に進出し、さらに海外へとその名を広げている。ではなぜ「クリームパン」で同社は成功できたのだろうか。

今回は常務取締役 事業統括本部長の藤井康平さんに、八天堂がクリームパンを看板商品に選んだ理由や、売れるようになるまでの苦労、今後の展望などを聞いてみた。

◆和菓子屋としてスタートした八天堂

八天堂のはじまりは1933年まで遡る。「昭和初期、まだ甘いものが貴重だった時代に甘いお菓子で少しでも周りの方々を明るく元気にしたい」という想いから、和菓子屋としてスタートした。

そこから戦後西洋の文化の影響を受け、二代目が洋菓子を取り入れ「和洋菓子」の店へ。さらに三代目では「焼き立てパン」業態へと、これまで形を変えながら会社を続けてきた。2023年に創業90周年、会社創立70周年を迎えた。

そんな同社だが、これまで決して順風満帆な経営だったわけではなく、実は倒産危機を経験してきたという。

◆「八天堂といえば○○」という商品を作りたい

「三代目のパン屋の売り上げは、焼きたてパンブームの先駆けとして好調でした。

ところが、時代とともにコンビニや焼きたてパン屋が次々に出店する外部環境の変化と、人財育成が追い付かない中での経営もあり、当時13店舗あるうち数店舗が赤字に転落し、初めての倒産危機に直面しました。

その後は、なんとか立ち直るためにビジネスモデルを変えて製造卸をスタート。当時まだスーパーの袋詰めパンには無かった天然酵母・地産地消などこだわりのパンを、地元のスーパーへ卸すことにしました。

結果この戦略はヒットし、売り上げが回復。しかし時間の経過とともに、地元のパン屋もスーパーの卸業態に次々と進出、少しずつ陰りが見えてくるようになりました」

焼き立てパン屋の業態での倒産危機の経験もあり、「このままでは卸売り業態も競合や環境の変化により益々厳しくなる」。そんな学びを得た社長は、ある大きな決断をしたという。

「目的買いしていただける『八天堂の看板商品』をつくることにしました。当時100種類ほどを超えるパンを製造していましたが、選択と集中で『八天堂といえば〇〇』という商品を作らなければと思ったんです」

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