八天堂が「くりーむパン」を看板商品に選んだワケ。“倒産危機”から“売上10倍”までの道のり
日刊SPA! / 2025年1月19日 8時52分
すぐに無地の箱を準備して、くりーむパンを5個セットで詰めてみた。するとそのセットがどんどんと出ていくんです。予想外の出来事で驚きました。
『どうして』とお客様に尋ねたら『おいしいから誰かに持っていこうと思うんだ』と。なるほど私たちのパンは、パンじゃなくて“スイーツ”に近いものとして受け入れられたんだと思いました」
◆東京出店後10倍の売上を達成
お客様の反応から売れることを確信した同社は、一点集中に踏み切った。2009年には東京での販売を請け負ってもらえるパートナー会社とも巡り合えた。
「最初は東京都北部の『東十条商店街』での販売でした。反響は予想を上回り、売れ行きは絶好調で目標であった山手線内での販売につながりました。五反田駅、埼玉県大宮駅での催事販売でも大きな反響をいただき、品川駅でも販売することができるようになりました」
販売を続けていくうちに、口コミから徐々に広がり、メディアに取り上げられると瞬く間に認知が拡大。東京出店後、1年で約5倍、数年後には約10倍の売り上げ増を達成した。
◆“飽きさせない”味で、販路を増やし続ける
さて、たった一つ“くりーむパン”に絞った八天堂だが、飽きさせないために、どのような工夫をしているのだろうか。
「もう一度食べたくなる味を常に意識しています。イメージはお母さんの握ったおにぎり。なんか母親が作るおにぎりって、定期的に食べたくなるじゃないですか。
今も毎月たくさんの商品を開発して新作のくりーむパンを販売していますが、全ての商品において余計なものはほぼ入れないことや、濃い味は使わないことを徹底しています」
エキナカを飛び出し、現在はコンビニや大手カフェチェーンでもその姿を見かけるようになったくりーむパン。その理由には、開発当初からのある想いがあった。
「当初から各地域で『ここに行けば食べられる』という状態を実現したいと思っていました。その想いは今も変わっていません。ただ一社でできることは限られているので、最近は多くの企業様と商品を開発しています。
今後もより良い未来が描けるのであれば、お互いの強みを活かして、積極的に連携していきたいと思っています」
◆日本が生んだ新しいパンの文化を世界に広げる
くりーむパンを通して、“パンの手土産”という新しい文化を創ってきた八天堂。2024年秋には、そごう広島、そごう横浜への出店をスタート。現在もさまざまな企業とコラボレーションしながら、次々に新商品を発表している。
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