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シャープ買収の次は日産獲得か…台湾・鴻海(ホンハイ)の狙い。日本企業を狙う背景には“iPhone依存体質”への焦りが

日刊SPA! / 2025年2月1日 8時53分

 EMSとして成長し、鴻海の売上高は拡大し続けました。2008年にiPhoneが発売されると、2010年代はiPhoneの受託生産でさらに成長することになります。スマホ市場の拡大と共に鴻海の売上高も増え、2024年度は32.75兆円となりました。

◆シャープに加えて日産も? なぜ日本企業を狙うのか

 冒頭の通り、日本国内での認知度が上昇したのは2016年のシャープ買収以降です。液晶生産への大規模投資と太陽光パネル事業で失敗したシャープは、2000年代後半から業績が悪化していました。鴻海はそこに目を付けた訳です。一時、液晶でシェアトップを握った日の丸企業の買収に、悲観的な意見もありましたが、鴻海傘下に入ってからは徹底したコスト削減を進め、その後シャープは営業黒字を達成しました。なお、近年ではコロナ禍におけるスマホ需要の低迷で液晶事業が再び低迷し、シャープは規模の縮小を進めています。

 昨年末に日産とホンダの経営統合が発表されましたが、ここにも鴻海が関係しています。日産の厳しい状況を踏まえて”お買い得”と判断した鴻海が資本参加に向けて活動を開始。これを警戒した経産省が日産・ホンダの統合を急かしたとの憶測が出ているのです。冷静に見れば、日産が苦戦する一方でホンダ側は二輪で好調。ホンダのメリットが小さい統合と言えます。

◆“iPhone依存”から脱却したい鴻海

 鴻海が日本企業を狙うのは、iPhone依存からの脱却を目指しているためです。EMS企業として売上高は伸びたものの、売上の半分を占めるのはiPhoneなどのスマホ関連。企業規模が年々拡大する一方で、利益率は低下し続けていました。自社ブランドで有力なPC・スマホなどの最終製品を持っている訳ではありません。鴻海は受託生産以外の道を模索しようと株価の安い日本企業を狙ったのです。

 特に近年はEV関連に注力しました。2019年にEV(電気自動車)事業への参入を表明した後、中国新興EV企業への出資や台湾自動車メーカーとの共同開発を行いました。しかし提携を発表した新興企業が倒産したほか、発売したEVがあまり売れないなど、EV事業も芳しくありません。日産買収に関してはテスラやBYDの好調をよそに、焦る鴻海の姿勢が窺えます。

 日産・ホンダの経営統合方針により、鴻海が日産を買収できる可能性はほぼゼロになりました。自社でEV事業を開拓し“iPhone依存”から脱却できるのか、鴻海は難しい舵取りを迫られています。

<TEXT/山口伸>

【山口伸】
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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