カズさん、俺やったよ！ U－23日本GK小久保、神セーブ連発 “盛り上げ隊長”チーム救う

＜U－23日本代表・U－23中国代表＞試合後、サポーターにあいさつする小久保（手前）＝撮影・小海途　良幹

　◇サッカー男子パリ五輪最終予選兼Ｕ―23アジア杯1次リーグB組第1戦 　日本1－0中国（2024年4月16日　カタール）

　パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23アジア杯に出場中のU―23日本代表は16日、1次リーグB組初戦で中国を1―0で破り、白星発進した。1点リードの前半に退場者を出す試練の中、1メートル93の長身GK小久保玲央ブライアン（23＝ベンフィカ）が好セーブを連発して零封。ムードメーカー役も担う守護神は、同じポルトガルでプレーする憧れの元日本代表FW三浦知良（56＝2部オリベイレンセ）へパリ切符獲得の吉報を届けることを誓った。

　大岩ジャパンの窮地を守護神・小久保が救った。好セーブ連発で計6本の枠内シュートを阻止。1―0の前半17分にDF西尾が一発退場となり、70分以上を数的不利な状況で戦いながらも最後までゴールを死守した。

　「自分たちは10人になっても“（西尾）隆矢の（抜けた）穴を埋める！”ということで、自分が中心となって無失点で終えることができて良かった」

　最大の見せ場は後半2分。中央から抜け出してきた相手と1対1となる大ピンチを迎えても冷静だった。持ち味の間合いの取り方でコースを読むと、素早く手を出しビッグセーブ。「落ち着いて当てることができ、いい判断だった」。父がナイジェリア人、母が日本人。長い手足を生かしたセービング、ロングキックでも魅せた。

　“盛り上げ隊長”でもある。宿舎ではスマートフォンアプリでゲーム大会を主催。初招集組や人見知りの選手を積極的に誘い、チームの輪をつくってきた中心人物だ。この日も最後尾から的確な指示とともに大声で味方を鼓舞し続けた。

　現在は主にベンフィカのセカンドチームでプレーする。同じ2部のオリベイレンセでプレーし「雲の上の存在」と憧れるカズとは試合でユニホームを交換。電話でも激励を受けた。2月にキングの誕生日会に出席予定だったが、都合で開催されなかっただけに「多分、カズさんも（五輪予選を）見てくれてると思う。次に会う時にいい報告ができたらいいな」。A代表のGK鈴木彩艶（シントトロイデン）は2歳年下のライバル。パリ五輪に導く活躍は、森保ジャパン入りにもつながるはずだ。　（滝本　雄大）

【小久保玲央ブライアンはこんな選手】

　☆生まれとサイズ　2001年（平13）1月23日生まれ、千葉県出身の23歳。1メートル93、78キロ。利き足は右。

　☆競技歴　柏U―15から柏U―18に昇格。18年にトップチームで出場可能となる2種登録されたが出場機会なし。19年にベンフィカに加入し、U―23チームに加入。20年には育成部門の欧州CLにあたるUEFAユースリーグで準優勝に貢献。

　☆代表歴　各世代別で代表に招集され、19年末にはU―22日本代表合宿に“飛び級”で初選出。大岩ジャパンでも22年の発足時から選ばれている。

　☆最近の趣味　市場で購入した魚をさばくこと。鮮魚店の常連で、現地の店員とも仲良し。

　☆好きなアーティスト　シンガー・ソングライターの清水翔太で、お気に入りの楽曲は「ナツノオワリ」。

《退場者想定実る》

　○…大岩監督は不測の事態に備え、今大会に臨んでいた。中国戦前日には退場者が出たケースを想定しながらセットプレーや布陣を確認。選手も動じることなく「難しいゲームだったけど選手たちがよくやってくれた。内容も結果も大きな1試合になった」と称えた。終盤に中国が身長2メートルの控えGKをFWで起用したのにはさすがに「戸惑った」と振り返ったが、あらゆる想定に基づいた準備が実った格好となった。

　▽U―23日本代表―U―23中国代表VTR　日本は1人少ない状況で逃げ切った。前半8分に山田楓の右クロスを松木が左足で合わせて先制したが、同17分に相手への肘打ちで西尾が退場に。押し込まれる時間が続き、クロスバー直撃のシュートも浴びた。後半開始直後に守備ラインの裏を突かれたピンチではGK小久保が好セーブ。ロングボール主体の中国の猛攻を耐え、無失点で終えた。

　▽日本の次戦突破条件　19日の第2戦で1次リーグ突破を決めるには、日本戦の前に行われる韓国―中国戦で韓国が○か△、その上で日本がUAEに○ならばB組2位以内が確定。最終戦22日の韓国戦を待たずに突破が決まる。