大谷翔平 ラプソード社のアンバサダーに就任 二刀流と歩むテクノロジーの進化
スポニチアネックス / 2024年4月24日 3時31分
ドジャース・大谷翔平投手(29)の大リーグでの活躍をさまざまな角度から取り上げる大好評企画「Monthly Shohei」は7年目に突入する。データトラッキング機器大手のラプソード社は22日(日本時間同日深夜)、大谷がテクノロジー・アンバサダーに就任することを発表した。同社のマット・フォールス・マーケティング部長に二刀流と歩んだ道のりや現状、今後について聞いた。(取材・構成=柳原 直之)
二刀流の躍進を、完全復活への道のりを、力強く支える。弾道測定機器大手のラプソード社のテクノロジー・アンバサダーに大谷が就任した。大谷は「僕がもっと早く使っていれば良かったと思える一つ。子供たちも、大人になってからも、選手は成長のためにこれらのツールを活用すべき。早く使い始めるほど成長も早くなる」とコメントした。
ラプソードは3Dトラッキングシステムで、レーダーとカメラを組み合わせて、投球用は球速や回転数、回転軸、変化量など、打球用は打球の速度、角度、飛距離などを即座に正確に数値化できる。
MLBは全球団が導入し、NPBでも普及しているが、大谷はメジャー1年目の18年から投打両方で同機器を使い始めた。現在は最新版の「PRO3・0」を使用。投本間に置くことで投球と打球を同時に計測できるようになった「二刀流」版だ。フォールス氏は「大谷選手の感覚と実際のデータを比較する能力は、選手としての成長を定量化するのに役立った」と説明した。
注目は大谷のラプソードの使い方だ。一つ目はリハビリ。18年に右肘、19年に左膝、そして昨年9月に2度目の右肘の手術を受けた。投打両面ともリハビリ過程でラプソードを使用。大谷は「リハビリ段階から、数値が自分の感覚に合っているのか見ている。投球プログラムを開始してからも、感覚との一致、不一致を随時確かめることで、よりスムーズにリハビリを進められる」と利点を語った。
2つ目は今春キャンプでも大谷が室内で愛用していた、投手の映像が流れて投球を再現する打撃マシン「トラジェクトアーク」との併用だ。「併用による最大の利点は、マシンによる投球軌道をリアルタイムで視覚化できること」(フォールス氏)。トラジェクトアークによる投球をラプソードで測定し、投球軌道を求める出力や軌道に調整することが可能となる。大谷もトラジェクトアークでの打撃練習を、実戦の打席数同様にカウントするなど重視しており、「自分自身の(スイングの)スピードや動きを数値で管理し、思い通りに動けているか確認している」と語っていた。
「もしリトルリーグ時代にこのようなものがあったら今どれだけ良くなっていたか」とも語っており、フォールス氏によれば「大谷選手は野球におけるテクノロジーの利用を拡大したい」という強い願望があるという。
大リーグは90年代後半から00年代前半の「ステロイド時代」を経て、計測システム「スタットキャスト」が導入された15年以降はテクノロジーを駆使することで野球技術の革命的発展を遂げてきた。大谷は紛れもなくその先駆者の一人。まだ見ぬ野球界の未来へ、最先端のテクノロジーとともに進化を続ける。
▼ラプソード バトゥハン・オカーCEO(創設者)大谷選手はただ並外れた才能を持っているだけではない。考え方や献身、適切なツールが導く先の象徴だ。協力して、私たちのテクノロジーが達成できる限界を押し広げましょう。
▽ラプソード ラプソード社が開発した3Dトラッキングシステムで、レーダーとカメラを組み合わせ、投球や打球の詳細なデータを測定できる。「PRO3・0」は投打の同時測定が可能で持ち運びもでき、公式サイトでの価格は126万5000円(税込み)。プロはもちろん、大学や高校、中学硬式などアマチュア球界にも徐々に導入が進んでいる。弾道測定器としてゴルフ界でも広く愛用されている。
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