能見篤史氏 スイングに迷いがない阪神・森下は厄介な打者 内角を攻め切れなかった青柳は修正を

＜神・ヤ＞4回、ソロを放った森下（撮影・中辻　颯太）

　◇セ・リーグ　阪神2－8ヤクルト（2024年4月26日　甲子園）

　【能見篤史　視点】球場の雰囲気が森下のひと振りで変わる。4回2死からの本塁打は彼の魅力を改めて感じさせる一撃だった。

　スイングに迷いがない。小川の初球を待っていたかのように振り切った。投手目線から見ても、実にやっかいな打者として存在感を増している。

　バッテリーは後の対戦も想定し、打者に配球を意識づけることを狙っている。例えば直球をファウルさせて、追い込んだら最後は落ちる球――と意識させれば、次の打席でも主導権を握れる。

　森下はそうした意識づけがあまり効かないタイプに見える。むしろバッテリーが「何を狙っているのか」と考えさせられる打者だ。ここからの成長が楽しみだと感じた。

　一方、先発した青柳は逆方向への打球を意識したヤクルト打線を封じることができなかった。初回はゴロ3つで3者凡退。2回も通算の対戦打率4割を超える苦手の村上を空振り三振に抑え、いい立ち上がりだったところから投げミスが増えた。

　逆方向を意識している相手は外角へ目付けをしてくる。となると内角をいかに攻めるかがポイントだ。そこを投げ切れなかった。許した7安打のうち5本が逆方向。課題はしっかりと修正してほしい。そのための経験は持っているはずだ。

　連勝も止まったが、打者では糸原、ブルペンでは漆原がいい仕事をした。オリックスで抑え候補だった漆原は移籍して持ち味を発揮している。ベンチも含めて阪神にはチーム力がある。そう信じて、切り替えてほしい。　（スポニチ本紙評論家）