唐十郎さん死去 芸能界から悲しみの声 渡辺謙、佐野史郎、宮沢りえら「言葉にならない」「出会いは宝物」
スポニチアネックス / 2024年5月5日 8時23分
アングラ演劇の旗手として活躍した劇作家の唐十郎(から・じゅうろう、本名大鶴義英=おおつる・よしひで)さんが4日、東京都中野区の病院で死去した。唐さんが主宰する「劇団唐組」が5日、発表した。84歳。東京都出身。
唐さんは、1940年(昭15)2月11日生まれ、東京・下谷万年町出身。明大文学部演劇学科卒。63年に「シチュエーションの会」(64年に劇団「状況劇場」に改名)を結成し、67年、新宿花園神社で“紅テント”公演を行う一方、根津甚八、小林薫、佐野史郎ら多くの俳優を輩出した。
訃報を受け、芸能界からも追悼の声が寄せられている。
俳優の渡辺謙は「私の舞台デビュー作『下谷万年町物語』の作者である唐十郎氏がご逝去された」と訃報に触れ、「田舎から出て来て、まだ劇団の研究生2年目の右も左も分からない私にとって、唐さんの作品はまさに未知との遭遇ワンダーランドでした」と思い出をつづった。「素晴らしい劇作家でした 謹んでご冥福をお祈りします #唐十郎 #渡辺謙」としのんだ。
唐さんを恩師と慕う俳優・佐野史郎(69)は自身の公式サイトで「言葉にならない」と沈痛。「ただ、間違いなく、唐さんの舞台を観たことで、状況劇場に入団したことで、そして退団後も交流させていただけたことで、多くのことを学び、導いていただいたことは間違いない」と感謝し、「戦後の上野の焼け野原の光景から世界を読み解き始めた唐さんのまなざしから学ぶことは、まだまだ多い。唐さん、今は、ただ、ゆっくりお休みください。そして、これからも、よろしくお願いいたします」と締めくくった。
唐さんたちとともに「状況劇場」(紅テント)でアングラブームを起こした大駱駝艦主宰で舞踏家、俳優の麿赤兒(81)は自身のSNSで「私の人生の最大にして最深の劇的出来事であった」と唐さんとの出会いを振り返りつつ「唐組の芝居が期せずして東京で行われている。劇団員の心いかばかりかと思う。心からエールをおくりたい。ここには唐十郎の劇世界が厳然と生きているのだ」と唐組の劇団員にエール。最後は最後は「ゆっくり眠ってくれ、何また会えるさ!」と盟友に呼びかけた。
女優の宮沢りえはインスタグラムのストーリーズで「唐さん、さようなら。」「唐さんの作品に出会えたことは、私の、人生の、最高の宝物です」「これからも大切に、大切にします」とつづり、唐さんとの2ショット写真で追悼した。
劇作家の横内謙介氏は「芝居に詳しい人は、信じられないと思うけど 実は私、唐十郎みたいな戯曲を書いてみたいと、ずっと思っていたんだよ。未だかなわぬ夢だけど」と吐露。「アングラの兄さんたちは苦手だった。しかし、紅テントの芝居には大いに心惹かれた。数々の偉大な功績に敬意を表して、合掌」と追悼した。
女優の白石加代子は「早稲田小劇場に書き下ろしてくださった『少女仮面』。岸田戯曲賞も受賞された傑作戯曲の主演を務めさせていただけたことは、大きな宝物として胸にあります。ご冥福をお祈りいたします」と悼んだ。
昨年、唐さんの名作の一つ「少女都市からの呼び声」で雪子役を務めた女優・咲妃みゆは、自身のインスタグラムで「一片の曇りもない瞳の輝き、美しい涙、手の温もり、驚くほどのエネルギーに満ちた握手、人はこれを〓忘れ得ぬ瞬間〓と呼ぶのだろうな…そう強く思う一期一会でした」と唐さんとの時間を回顧。「『ありがとう。ありがとう。ありがとう…』何度も掛けてくださったそのお言葉に、どれほど勇気をいただいたことでしょう。もっともっと演劇と深く向き合いたい、そう思わせてくださったのは紛れもなく唐十郎さんです。今改めて、感謝の気持ちが込み上げます。叶うならば…もう一度お会いしたかったです。本当に、本当に、ありがとうございました」と感謝の思いを言葉で表した。
俳優の吉原光夫は「ご冥福を… #唐十郎 #訃報」と言葉少なに追悼。俳優の青山郁彦は「唐十郎さん 圧倒的な憧れでした」と感謝。「生きてる間に唐演出でなくとも『少女都市からの呼び声』に出演できたことを誇りに思います。僕が演劇に惚れ込んだのは間違いなく唐十郎です子供の日に、、鯉は天に登っていった 唐さーーーん」と悼んだ。
女優の鳳恵弥は「現代演劇界を創り上げた巨人、唐十郎先生が旅立たれました」と唐さんとの写真を添え、「私は唐先生が育てた唯一の演出家である中野敦之さんの御縁により、【風の又三郎】、【腰巻きお仙】という唐十郎作品へ参加をさせて頂く栄誉を受けました しかも、劇場ではなく唐先生の象徴である野外テント劇場 中野さんたちと実現に向けて動いた新宿中央公園でのテント劇場復活の時には本当にニコニコ喜んでお褒め頂いたことが昨日のように思い出されます」と回顧。「役者として、唐先生の生み出した言葉をテントの中で発させて頂く事が出来たのは何にも代え難い誉れでありました。あの1分1秒を身体に沁み込ませ、その栄誉に恥じぬ役者人生を歩んで参ります。今はまだ言葉が見つかりません、ただ、ただ、有難う御座いました!御冥福をお祈り申し上げます」としのんだ。
長男で俳優の大鶴義丹の元妻で歌手のマルシアはX(旧ツイッター)で、「唐十郎様 ご冥福をお祈り致します 合掌」と追悼。「唐さんは元義理の父でもあり、あの頃を振り返ると…お酒が大好き、楽しいお話が大好き、演劇や文化の話をジョークを飛ばしながら爆笑した印象が御座います」と、ありし日をしのんだ。「昭和の偉大なる宝がまた一人去って逝く。唐様、改めて感謝を申し上げます」とつづった。
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