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【内田雅也の追球】プロ極めるには大切な「少年の心」 こどもの日に際立った少年が集う阪神の強み

スポニチアネックス / 2024年5月6日 8時1分

岡田監督(左)に声をかけられ笑顔を見せる勝利投手の才木(撮影・大森 寛明)

 ◇セ・リーグ 阪神4-2巨人(2024年5月5日 東京D)

 たとえば、イチローは野球教室である少年から「どうすれば、たくさんヒットを打てますか」という質問に「大人になっても子どものころのように野球がしたい」と答えた。「少しでもうまくなりたいという思いをキープすることができたら、ずっと向上し続けることができます」

 虹のようなホームランを量産し、終戦後の国民的スターだった大下弘は日記『球界徒然草』で「童心」の大切さを説いている。<「大人になると子供と遊ぶのが馬鹿らしくなる」と人は云うかもしれないが、私はそうは思はない。(中略)子供の世界に立入って、自分も童心にかへり夢の続きを見たい>。

 1950―70年代、大リーグ史上最高の「コンプリート・プレーヤー」と呼ばれたウィリー・メイズはよく少年たちと遊んだ。ニューヨーク(現サンフランシスコ)・ジャイアンツ時代、ハーレムの路地で草野球をし、一緒にアイスクリームを食べてから本拠地ポロ・グラウンドに入った。

 プロを極めるには少年の心が大切なのだ。

 こどもの日だった。阪神で活躍したのは少年時代の面影を残す選手たちだった。先制2ランに美技の近本光司、3番抜てきに適時打で応えた佐藤輝明。ともに5月5日に張り切るのか、近本は通算21の9で・429、佐藤輝は14の5で・357と強い。思えば阪神時代の新庄剛志(現日本ハム監督)は通算25の14で・560と打ちまくった。

 先発で勝利投手となった才木浩人やグラブトスで併殺を完成させた中野拓夢、ランニングキャッチの森下翔太……など、今の阪神には、野球少年のように純真でひたむきな選手が多い。これが強さの秘密かもしれない。プロ野球記録に並んだ、こどもの日8連勝にはそれなりの意味がある。

 アメリカでは大リーガーのことを「ボーイズ・オブ・サマー」(夏の少年たち)と呼ぶ。東京は夏日だった。屋根で見えないが、青空の下、少年たちが躍動したのだ。

 山際淳司は<野球選手はいくつになっても監督にいわせれば“kids”であり“boys”なのである>と書いた=『アメリカ・スポーツ地図』(角川文庫)=。

 監督・岡田彰布自身が少年ではないか。現役時代は親しみを込め「野球小僧」と呼んだ。少年が少年を率いているのだ。

 夢や向上心を持ち続ける少年たちが集まる強みである。 =敬称略= (編集委員)

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