日本ハム伊藤 新球「キックチェンジ」習得に着手 自主トレ公開「引き出しを増やす」

＜日本ハム自主トレ＞握りを確認する伊藤（撮影・高橋　茂夫）

　日本ハム・伊藤大海投手（27）が11日、エスコンフィールドでの自主トレを公開した。昨季は14勝、勝率・737で投手2冠に輝き、本拠地開幕戦となる4月1日ソフトバンク戦での先発を公表されたエースは、CSでのリベンジに向け新球の習得にも着手。今季の目標には「沢村賞」を掲げた。

　吐く息が白いほど気温が下がったエスコンフィールド。それでも、キャッチボールを行った伊藤は、投げる度に熱を帯びていく。中盤に差し掛かると、人差し指と親指で輪を作り、さらに中指の爪を立てた握りのボールを投じた。新球として習得に取り組む「キックチェンジ」だ。

　「CSのソフトバンク戦でスプリットがスピード出すぎて、（打者が）真っすぐ対応できているとこに合ってしまった。引き出しを増やす意味でも、緩急はキーになる」

　「キックチェンジ」は、メジャーでも昨季にデビューして5勝を挙げたジャイアンツの右腕ヘイデン・バードソングが使っているが、まだ投げる投手が数少ない最新の球種だ。スプリットに比べて球速が遅く、大きく落ちる球種だ。数日前にバードソングの動画を見て試すと感覚が良く「（試合で）使えるようにしていきたい」と意欲を見せる。

　新庄監督が、既に本拠地開幕戦となる4月1日のソフトバンク戦での先発を公表済み。昨季のCSファイナルSでは、6回途中を10安打4失点と振るわなかっただけに「開幕戦と同じぐらい大事。去年はあれだけの差で勝ちきったチームにどういう姿勢で戦っていくかを見せるかは凄く大事」とリーグ王者へのリベンジに燃える。

　しかも、今季は4月1日が火曜日で、5月末までに火曜日のソフトバンク戦が4試合もある。火曜日にローテーションを回り続ければ、4試合とも投げる可能性もあり、新球を習得して引き出しを増やすことで「“前回と違うじゃん”みたいな感覚を覚えてもらえるようなスタイルにしていきたい」という意図もある。また、移籍した元同僚の上沢と対戦する可能性もあり「（右肘の状態）が良くないと思うので、早く治してもらって、100％できてほしい」とガチンコ対決を待ち望む。

　最多勝＆最高勝率のタイトルホルダーとして迎える5年目の今季。さらなる高みへ「欲しいのは去年、表彰がなかったタイトル」と言い切った。昨年は該当者なしだった投手最高の栄誉である沢村賞のことだ。「もう一回、タイトルを獲るというイメージを持ちながら、去年できなかったリーグ優勝を」と伊藤。新球をひっさげ、25年シーズンも先頭に立つ。

（田中　健人）