藤原良房「藤原氏繁栄のきっかけ“”応天門の変の真相」
日刊大衆 / 2024年4月4日 7時0分
「この世をば わが世とぞ思う 望月の」
藤原道長が絶頂期に詠んだとされる有名な和歌(上の句)だが、その一世紀半ほど前に、やはりわが身の栄華を歌に託した公卿がいた。
藤原良房。娘が清和天皇に嫁ぎ、皇族を除き、臣下として初めて摂政になった人物として高校の歴史教科書に登場する。藤原不比等(前号で詳述)を藤原摂関家の事実上の始祖とすると、良房は道長につながる一族の栄華の礎を築いたといえる。
その良房は伴(大伴)氏をはじめとする古代の有力氏族を排斥することで藤原氏の政治的地位を高めたとされてきたが、最近の研究でぬれぎぬの可能性が高くなった。では、なぜ権力を掌握できたのだろう。古代史の謎の一つとされる「応天門の変」の真相を探りながら検証してみよう。
貞観八年(866年)閏三月十日に大納言の伴善男が御所の応天門を放火炎上させて逮捕された事件だ。まず事件は、犯人である善男が左大臣源信まことの仕業だと清和天皇に訴え出たことに始まる。それが讒言だとわかり、事件はいったん振り出しに戻ったが、『三代実録』によると、八月になって大宅鷹取という下級官人が応天門を焼いた犯人として善男らの名をあげ、事態は急展開。大臣の座を狙う善男が源信の失脚を図り、罪をなすりつけるために放火炎上させた事実が浮かび上がった。
しかし、善男は当時、大納言といってもナンバー2。源信が失脚しても、上に大納言平高棟と右大臣藤原良相、その上には太政大臣の良房がいて、高棟と良相がそれぞれ繰り上がるだけ。善男は大臣にはなれない。
一方、『三代実録』には、応天門炎上事件に絡んで処罰された者の名が記載され、伴氏一族ほか、紀氏ら藤原氏のライバルとなる有力氏族も連座し、彼らが事件を機に、政治の表舞台からほぼ一斉に姿を消した。しかも、事件の渦中、その混乱を抑えるために良房が摂政についていたため、事件の黒幕が彼だったといわれるのだが、話はそう単純ではない。
そこで注目したいのが右大臣の藤原良相だ。良房の弟で才気あふれる人物とされ、良房にとって兄弟ながら最大のライバル。一方、その右大臣の良相が大納言の善男と通じていることを窺わせる事実があり、善男と源信はもともと不仲だった。逆に良房は、源信が善男に讒言された際、清和天皇に奏上し、弁護している。
以上の関係を整理すると、「右大臣藤原良相・大納言伴善男」派が「太政大臣藤原良房・左大臣源信」派の追い落としを謀るために事件を仕組んだものの、その派閥抗争に敗れたという構図が浮上するのだ。事件後、ライバルである弟の良相も急死し、良房がわが身の栄華を謳歌する。つまり、その政治的地位は敵失によるものだったといえよう。
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