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バスケB1「最後の残留争い」が白熱 “崖っぷち”信州の生え抜き選手、望みつなぐ気迫のワンプレー

THE ANSWER / 2024年4月25日 17時33分

接戦を制し2連勝を飾った信州ブレイブウォリアーズ。B1残留へチーム一丸で望みをつないでいる【写真:B.LEAGUE】

■自動降格圏に沈む信州がアウェーで富山に2連勝

 バスケットボールBリーグは2026年に構造改革を行い、「B.LEAGUE PREMIER」「B.LEAGUE ONE」「B.LEAGUE NEXT」の3つのカテゴリーを創設することを発表している。現在と同じ3部制だが、大きな特徴の1つがシーズンの成績による昇降格制度が廃止されることだ。そしてすでに来季(2024-25シーズン)から降格を実施しない方針をBリーグが示しているため、今季が従来の成績に基づく「残留争い」が行われる最後のシーズンと言える。

 その渦中にいるB1中地区7位の信州ブレイブウォリアーズは、4月20日・21日にアウェーですでに降格が決まっていた同8位の富山グラウジーズと対戦。しびれる展開の末に第1戦を71-62、第2戦を74-73で制して連勝し、逆転残留へ望みをつないだ。

 信州は富山戦を迎える前の時点で7勝47敗と負けが込んでおり、B1中地区で8チーム中7位、B1全体でも24チーム中23位と下位2チームの自動降格圏内に沈んでいた。クラブの財務状況やホームアリーナの施設面などを条件とする「クラブライセンス」による強制降格が発生した場合はこの限りではないが、信州としては1つでも勝って残留争いに食らいつく必要があった。

 対する富山は、前節終了時点で自動降格となる下位2チームになることがすでに決定。しかし、今年1月以来続く26連敗を止めたい富山は、高い集中力を保ってゲームを進め、特に第2戦は1本のシュートが明暗を分ける展開となっていく。

 第4クォーター、信州の勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)は、選手交代なしで10分間を戦いきることを決断する。試合後の会見でその意図が明かされたが、そこにはこれまで勝久HC、そして信州が鍛え上げてきたディフェンシブな戦い方を象徴するものがあった。

「基本的にはマッチアップの観点から、カバーをしに行ってしまうと、相手の外国籍選手にパスを出されて3ポイントを決められてしまう。あの場面で、富山の小野選手にはエリエット(・ドンリー)を、宇都選手には(三ツ井)利也をつけなければいけない。(石川)海斗はコートに立っていなくてはいけない……一瞬でも悪いマッチアップになったら、そこを突かれてしまうので、どうしてもバテて動けないようなら交代が必要とは思いましたが、疲れでどうしても起きるようなミス以外は踏ん張って、エナジーを見せてくれたので、大事なところで相手を止められました」

 宇都直輝や水戸健史といった、富山の突破力に優れた選手たちのディフェンスを託されたのは、信州の三ツ井利也だった。長野県出身のご当地プレーヤーであり、Bリーグ開幕の2016-17シーズンに加入して以来、プロキャリアを一貫して信州で送る。190センチ・95キロと体格に恵まれながら走力にも優れ、体を張って食い止めるディフェンスとシュート力、いわゆる「3&D」のスタイルで信州を支え続ける存在だ。会見に登壇した三ツ井は、試合を次のように振り返る。

「連勝をすることは簡単ではありませんし、土曜日の結果を受けて、富山さんが気合いを入れてくるはずだとは思っていました。実際、良いエナジーとインテンシティー(強度)で向かってくるなかで、僕らが受けに回ってしまう、らしくない形になりました。後半をもう1回、0-0の気持ちで、こちらも相手のインテンシティーに対してしっかりと立ち向かおうと。正直、プレータイムの偏りもあって、本当にしんどかったと思いますけど、両チームのブースターさんたちが良い雰囲気を作ってくれたわけで、それもあって最後まで足を動かせたと思います」

■三ツ井利也「内容がどうであれ泥臭くやるしかない」

 試合の残り時間が3分を切った場面で、三ツ井はパスを受けた富山の水戸健史からボールを叩くと、そのまま転がったボール目がけて飛び込み、スティールを完成させる。富山に流れが傾きかけたところを食い止めたワンプレーに、勝久HCが全力のボディランゲージで称え、試合後の会見でも「あれがウイニングプレー」と言わしめた。

 立役者となった三ツ井は、激戦となった終盤をこのように振り返る。

「最後の最後、『どちらがより勝ちを欲しがったか』という戦いになって、結果として僕らのほうに流れが向かいました。前半から富山さんに五分五分のボールをずっと取られてしまって、それが競った要因にもなりましたし、終盤まで続いてしまうと絶対に流れを持っていかれると思っていました。僕が競った場面でプレーをするからには、ああいう仕事(泥臭いプレー)も求められている。無我夢中というか、学生時代から培ってきたメンタリティーが自然に出たのかなと感じています」

 この節のB1リーグでは、信州と残留圏内を争う茨城ロボッツがチャンピオンシップ出場を目指す千葉ジェッツから1勝を挙げた。信州は茨城との直接対決の戦績(2勝0敗)で上回っているため、茨城と同率に並べば上位に立てるが、残り4試合でゲーム差「2」を追いつかなければならないという厳しい条件は変わらない。

 残り少ないシーズンの戦い方を問われた三ツ井は、自らの仕事ぶりと照らし合わせるように答えた。

「戦略についてはコーチ陣が提示してくれるものもあるとは思いますが、最後は今日のようにルーズボールやリバウンドなどで、僕らがどれだけボールを欲しがるか。試合の最後まで自分たちのバスケットをやりきること。こういう状況になると、欲しいのは勝ちしかない。内容がどうであれ、泥臭くやっていくことが、一つひとつの勝利を死に物狂いで取るためには大事だと思います」(荒 大 / Masaru Ara)

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