黒沢清監督が〝世界初の試み〟新作「チャイム」に盛り込んだ「映画の3大怖いモノ」
東スポWEB / 2024年4月9日 14時7分
世界初の動画流通プラットホーム(PF)となる「Roadstead(ロードステッド)」のオリジナル作品第一弾「Chime(チャイム)」が都内で9日、国内初上映され、黒沢清監督(68)らが登壇した。
4年前の映画「スパイの妻」で「気持ちのいい仕事ができた」というプロデューサーらから、黒沢監督は「お好きにやって下さい」と頼まれ、同作を撮った。尺は45分で、テレビドラマ1話分ぐらい。本人が振り返る。
「訳が分からないって言ったら変ですけども、普通の映画とは少し違う物語の形式で、アッという間に終わってしまうような〝なんなんだこれは?〟っていうような不思議な作品を、できたらつくってみたいなと思っていたので、ちょうどよいと思ってこんなことになりました」
作品に盛り込んだのは「映画の3大怖いモノ」だ。1つは「幽霊」で、2つ目は「自分が人を殺してしまうのではないか、つまり法律を犯して自分が犯人になってしまうのではないかという怖さ」。もう1つは「警察に逮捕されるのではないかという、法律・秩序の側が自分を襲ってくると言うのは大げさですけども、自分にヒタヒタと近付いてくる」という恐怖だ。
「幽霊と、人を殺すことと警察と、3つみんな怖いっていうのをたった45分でやれないだろうか、っていうのがそもそも僕の物語の発想でした」
ただ、このPFについては黒沢監督もよく分かっていない。平たく言えば、DVDのように映像作品をPFで購入したユーザーが、転売、レンタル、上映など作品を自由に使えて、ユーザー同士の取引収益から作品の出品者へ権利料が還元されるという仕組みだ。
黒沢監督は「こういう新しい試み、長さだけではないいろんな映画とは違うつくり方、見せ方みたいなものは、絶対に回り回って映画にとって全てプラスだと考えています。よく『こんなものが出てきたら映画はどうなっちゃうんでしょう?』と不安がる人がいるんですけど、少なくとも僕が生きてる間ぐらいは、〝いや、そんな程度で映画はめげません。むしろそういうものを取り込んで、映画はより豊かになっていくはずだ〟と信じていますので」と語っていた。
同作は12日に全世界同時発売。価格は99ドルで、販売総数999本。うち映画関係者への配布分を除く949本が、1か月限定で販売される。
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