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【大相撲】「琴桜」が50年ぶり復活 秀ノ山親方が明かす先代の愛情ある指導

東スポWEB / 2024年4月25日 6時12分

琴ノ若は夏場所から元横綱で祖父のしこ名「琴桜」を襲名する

琴桜が土俵に返り咲く。大相撲の大関琴ノ若(26=佐渡ヶ嶽)が5月の夏場所から元横綱で祖父のしこ名を襲名。同場所の番付(30日発表)で1974年名古屋場所以来、50年ぶりに「琴桜」が復活する。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(40=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、初代琴桜の先代佐渡ヶ嶽親方をクローズアップ。最初の出会いから、入門後の厳しくも愛情のある指導、他界後の〝神秘体験〟などエピソードを明かした。

【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 琴ノ若が夏場所から「琴桜」を襲名することになりました。兄弟子の私にとっても、入門当時の師匠のしこ名が復活することには、特別な思いがある。そこで今回は、先代師匠について改めて紹介したいと思います。

最初の出会いは小学3年の時でした。地元の福岡・柳川で佐渡ヶ嶽部屋の激励会があって、知り合いに連れていかれたんですね。そこで、先代は私のおでこに人さし指でつばをつけて「僕、大きくなったらウチの部屋に入るんだよ」と言ったんですよ。その言葉が、すごくうれしくて。まだ本格的に相撲を始める前だったけど「入門するなら佐渡ヶ嶽部屋」と心に決めていました。

高校を卒業して入門すると、厳しくも愛情を持って接していただいた。先代の故郷の鳥取・倉吉で毎年春に「桜ずもう」という少年相撲大会があるんですね。そこへ新弟子の時に、先代の付け人として行かせてもらった。先代はあいさつ回りで1日10軒ぐらい足を運ぶんですけど、行く先々で大量のおにぎりとかが用意されている。すると「全部、いただきなさい。力士は残さないんだ」と…。必死に詰め込んで、1日で8キロ太ったことを思い出します(笑い)。

稽古も厳しかった。先代が稽古場に来た瞬間、部屋全体がとてつもない緊張感に包まれる。生唾を飲み込むことさえできないような雰囲気でした。先代いわく「土俵の外は崖だと思って稽古するんだ!」「相手の胸がミシッと音がするぐらいでなければ本当の当たりじゃない」…。少しでも稽古で気の抜けたところを見せれば「邪魔だからどいとけ!」と容赦なく外される。逆に、いい相撲を取るとすごく喜んで褒めてくれました。

本当に毎日が真剣勝負で、覚悟を決めて土俵に上がっていましたね。改めて感じることは、弟子に対する優しさというのは、決して甘やかすことじゃない。力士は強くなってなんぼの世界。愛情があるからこそ、厳しく指導してくれていたんですね。その先代は私が入門してから3年ほどで定年を迎えましたが、師匠を退いてからも稽古場に来ていました。

いつも上がり座敷の奥の椅子から目を光らせていたので、緊張感は変わらなかったですね。それは、先代が亡くなった後も…。先代が稽古場に下りてくる朝7時半ごろになると力士みんなが、いないはずの先代の足音や気配を感じてピリッと引き締まるんですよ。きっと、天国から弟子たちのことを見守ってくれていたのだと思います。

今の師匠(元関脇琴ノ若)をはじめ、私もことあるごとに琴ノ若には先代の教えを伝えてきました。先代も「琴桜」の復活を喜んでいるはずだし、その魂を受け継いでいってほしい。これまでの相撲にさらに磨きをかけて、自信を持って夏場所に臨んでもらいたいですね。それではまた!

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