叙勲受章のタイガー・ジェット・シン 故郷に建てた「地下1階、地上2階」の大豪邸
東スポWEB / 2024年5月5日 10時28分
【プロレス蔵出し写真館】広大な土地にひときわ大きな建物が建っていた。イベント会場かと見まがう自慢の豪邸。
「ハイウエー401号線を通るドライバーはみんなウチを見る。特に夜はライトアップされ、ウチだけが目立っているからな」。そう自慢げに語りポーズを取るのはタイガー・ジェット・シンだ(写真)。
今から35年前の1988年(昭和63年)11月16日、川野辺修記者とカナダ・トロントのダウンタウンから約40キロ、オンタリオ州ミルトンのシンの自宅を訪ねた。当時は家の前は道路があるだけだったが、その後、庭やら噴水の装飾が施されたようだ。
案内してくれたのは川野辺記者の大学の先輩、小幡宰さん。川野辺記者は「先輩はトロントの日本領事館に務めている。シンのワーキングビザ取得を手配している」と説明してくれた。
「シンが『オレは日本ではビッグスターだ。スゴイだろ』。そう言って東スポを見せるんだって。で、小幡さんが『その記事を書いてるのは私の後輩だ』って言ったら、シンの態度がコロッと変わっちゃって。それまで、シンから蹴飛ばされたり、サーベルでしばかれたりしてたんだけど、ファミリーみたいな扱いになっちゃって…。今度トロントへ行くんだけどって話したら『じゃ、ぜひウチに来てくれよ』って言われて、じゃあ先輩も一緒に行くからよろしくとシンに伝えてたんだよ」。シンの家に着く前に、そう教えてくれた。
そう、シンは最も〝恐ろしいレスラー〟だった。東スポでもテレビ朝日で解説を務めた桜井康雄編集局長をはじめ、現場の記者やカメラマンは必ず一度は殴られるか蹴られた。全日本プロレス参戦時、いきなり外国人控室からものすごい勢いで飛び出してきた記者もいた。顔から血を流し、つんのめって転んでいた。控室でいきなりシンにサーベルで殴られたと、息を弾ませ口を開いた。
まさに〝脱兎のごとく〟という言葉がピッタリの光景を今でも思い出す。私は幸いに、一度蹴飛ばされただけだったが、自宅豪邸の写真をプレゼントしてから、控室での撮影もOKになり手を出されることはなかった。
今でこそ〝慈善の人〟と言われるシンだが、全盛時はまさに〝インドの狂える虎〟だった。
さて、そんなシンが今年4月29日付で発表された外国人叙勲として旭日双光章を受章した。政治や芸術、文化などの分野で功績を残した人に贈られるという叙勲は1年に2回、春と秋にありシンは〝スポーツを通じた日本とカナダの友好親善・相互理解の促進に寄与〟したとして春の叙勲に選ばれた。
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