1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. 格闘技

井上尚弥がネリ戦で見せた〝凄み〟…石井和義館長が分析「ポイントで勝とうと思ってないんでしょうね」

東スポWEB / 2024年5月7日 5時20分

圧巻の勝利に咆哮する井上尚弥

モンスターが窮地で見せた〝凄み〟とは――。世界スーパーバンタム級4団体王座戦(6日、東京ドーム)で統一王者・井上尚弥(31=大橋)がWBC1位の〝悪童〟ルイス・ネリ(29=メキシコ)に6ラウンド(R)TKO勝ち。この戦いを立ち技格闘技「K―1」創始者で正道会館の石井和義館長(70)が徹底分析した。日本中を震かんさせ、そして熱狂させた初ダウンからの大逆転劇を、K―1創始者はどう見たのか。

「とにかく強さが光ったね。パーフェクトな選手ですよ…」。半世紀以上にわたり、格闘界で多くのレジェンドたちを目の当たりにしてきた石井館長も、井上が見せたパフォーマンスにはうなるしかなかった。

なにより注目したのは1Rに喫したダウン直後だ。接近戦でネリの放った左フックでヒザをマットにつき、会場はどよめいた。石井館長が最も注目したのがこの後で「すぐにファイティングポーズを取らず、8カウントまで休んだでしょ。それで立ち上がってもブロックしながら回復を待ちつつ、下がるだけじゃなくてパンチも出していました。本当に冷静です。すごい…」と指摘する。

その瞬時の好判断には「常にシミュレーションをしているんでしょう。『倒されたらどうしよう』とか『バッティングされたらどうしよう』とか。常に最善を尽くせるように。それにしても、東京ドームの大観衆の中で初めてダウンして冷静でいられるってもう、死角がないですよ」と舌を巻くしかなかった。

では、なぜ井上のプロ初ダウンは生まれたのか。石井館長は、立ち上がりの井上がわずかに雑になり、そこにネリのショートフックを合わせられたとみる。この一撃こそが、ネリの〝秘策〟だったという。「井上選手も想定外だったと思います。ただ、あまりにうまくいきすぎて、ネリ自身がビックリしてしまったように見えました。その後、大振りになったでしょ。井上選手は冷静になりましたけど」。その後の対応の差が両者の明暗を分けたと分析した。

その後は2Rに井上がダウンを取り返してペースをつかみ、5、6Rと立て続けにダウンさせてKO勝ちを手にした。石井館長は「ネリの得意は左のストレート。これを外側と内側に打つもので使い分けるんです。それに対して井上選手が使ったのが右のボディー。これが効果的で、ネリはすごく嫌がっていました」。オーソドックス(左前)に構える井上は左ボディーを得意とするが、これを打てばサウスポー(右前)で立つネリの得意な左ストレートのカウンターのエジキになる。そこで右ボディーを効果的に使い、悪童の得意を封じたというわけだ。

いわば、ダウンを喫したからこそ見せた新たな強さだったとも言えるだろう。石井館長は「下半身が超人的ですよ。重心が低いからどこからでも倒せる。空手でいう〝三戦立ち〟の姿勢。いわば全部のパンチが一撃必殺です」と空手の視点から解析。そして「(KOできるから)ポイントで勝とうと思ってないんでしょうね。だから『ダウン取られてもいいや』みたいに考えられるのかもしれない。試合後『1R目のサプライズ、たまにはいかがでしょうか?』とか言うてましたもんね」と感嘆した。

今後に向け「個人的にはフェザー級に上げて戦うところが見たいですね。スーパーバンタムがベストの階級だけど、あのパンチ力はフェザーで通用すると思います。階級を上げて、フィリピンのマニー・パッキャオのように世界で戦ってほしい」と期待を込めた。底知れぬ強さの井上は、どこまでいけるのか――。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください