将来に不安を感じる人は7割、ロスジェネの強い不安明らかに
LIMO / 2019年5月30日 21時0分
将来に不安を感じる人は7割、ロスジェネの強い不安明らかに
不安感の強弱は人それぞれですが、世代間で異なる社会環境の差も影響を与えます。加齢による不安、若いからこその不安など・・・自分の健康状態や周囲の価値観もその要因となります。
現代を働く人々の現状に対する不満、将来に対する不安はどの程度なのでしょうか。そして世代間での違いとは?以下で解説します。
「いま」に満足する働くシニア
日本労働組合総連合会(連合)は5月29日、『「36協定」「日本の社会」に関する調査2019』を発表しました。15歳以上の働く人(自営業・フリーランス除く)1000名に、生活への満足度や不安について調査しています(2019年4月11日~15日の5日間、インターネットリサーチにより実施)。
現在の生活に満足しているか(単一回答形式)
全体・・・・・・・満足55.6%、不満44.4%
10代・・・・・・・満足63.3%、不満36.7%
20代・・・・・・・満足56.0%、不満44.0%
30代・・・・・・・満足53.5%。不満46.5%
40代・・・・・・・満足47.2%、不満52.8%
50代・・・・・・・満足47.1%、不満52.9%
60代・・・・・・・満足70.0%、不満30.0%
70代・・・・・・・満足71.1%、不満28.9%
全体的には満足が上回っていますが、40~50代においては不満の方が上回っています。40代は就職氷河期世代(ロスジェネ世代)です。
17年末に放映されたNHKの『クローズアップ現代+』の「アラフォー・クライシス」では、有効求人倍率がバブル期を超え、各世代で月収が増加している一方で「アラフォー世代(主に40代前半)の給与のみ5年前の水準に比べて約2万円下がっている」とも報じられています。
優秀なのに低い給料で生活している人や、正社員になれなかった人が多い世代と言われています。その苦労は今も続いているのでしょう。
一方、60~70代の働くシニアは現状に満足している人が多いことがうかがえます。シニア世代になっても働き続けることが、生きる活力となっているのかもしれません。
7割以上は将来に不安を感じている
同調査では不安についても聞いています。
将来について不安を感じることがあるか(単一回答形式)
全体・・・・・・・不安を感じる73.0%、不安を感じない8.6%
10代・・・・・・・不安を感じる70.0%、不安を感じない6.7%
20代・・・・・・・不安を感じる67.0%、不安を感じない10.5%
30代・・・・・・・不安を感じる76.5%、不安を感じない5.0%
40代・・・・・・・不安を感じる76.1%、不安を感じない7.2%
50代・・・・・・・不安を感じる78.8%、不安を感じない7.1%
60代・・・・・・・不安を感じる69.0%、不安を感じない14.0%
70代・・・・・・・不安を感じる67.8%、不安を感じない13.3%
不安を感じている人が大半のようです。もっとも不安を感じているのは50代となっています。定年退職も見えてきて資産の状況や、体力の衰えなど不安を感じることが多いのかもしれません。
また60~70代の働くシニアは生活の満足度も高かったですが、「不安を感じない」割合も全体的に低い中10%以上あります。
20代の「不安を感じない」も10%以上になっています。有効求人倍率は1.63倍となっており、将来に希望を抱いている人も一定数いるのでしょう。しかし働き方改革はまだ始まったばかり。労働環境問題に直面していたり、ライフスタイルの多様化により「どのように生きていけば良いのか」先が見通せず、不安を感じる人が多いともいえます。
「不安を感じない」がもっとも少ない30代は、子育て世帯が多くなっています。育児に家事に仕事に・・・ともっとも忙しい世帯ともいえます。経済界では『終身雇用制度の維持は難しい』発言などが相次ぎ、子どもの教育費は増加傾向にあります。また年金問題もあります。このような社会では、不安を感じない方が難しいでしょう。
「不安」の原因トップ5は
将来に不安を感じることがある人(730名)の原因は以下の通りです。
自身を不安にさせているもの(複数回答形式)
1位・・・・・老後の生活 61.8%
2位・・・・・預貯金など資産の状況 50.4%
3位・・・・・家計のやりくり 48.8%
4位・・・・・自身の健康状態 44.1%
5位・・・・・税金や社会保険料の負担 41.8%
お金や健康に対して不安を感じている働く人が多いようです。
総務省が5月17日に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)」によると、2人以上世帯の世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高は以下のようになっています。
貯蓄現在高、負債現在高
平均・・・・・1752万円、558万円
40歳未満・・・600万円、1248万円
40~49歳・・・1012万円、1105万円
50~59歳・・・1778万円、683万円
60~69歳・・・2327万円、207万円
70歳以上・・・2249万円、104万円
60歳以上の現状に対する満足度の高さや、全体に比べて将来に不安を感じている人の少なさは、貯蓄の多さの影響もあるのかもしれません。今の40~50代が60代、70代となったとき、同じような貯蓄額に達しているのでしょうか。また年金制度がどのようになっているかも分からず、働く人の不安は募るばかりです。
さいごに
働き盛りの人の現状への不満、将来の不安が高いという調査結果となりました。とくに、ロスジェネ世代や定年退職が見えてきた50代の数値の高さが目立ちました。
現状を何とか受け入れながらも、将来の見通しが立たない…そんな人が多いのかもしれません。老後への準備をしようにも、なかなかできない現状があるのでしょう。何かと「自助」が求められる時代ですが、それも限界があります。実質賃金の上昇や労働環境の改善が喫緊の課題といえるでしょう。
【参考】
『「36協定」「日本の社会」に関する調査2019』連合調べ
『アラフォー・クライシス』(クローズアップ現代+)
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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