企業年金の課題-フリーランサーが主流となる経済「ギグ・エコノミー」の台頭
LIMO / 2019年12月1日 19時45分
企業年金の課題-フリーランサーが主流となる経済「ギグ・エコノミー」の台頭
ギグ・エコノミー
6月、7月と英国、米国に出張して、現地の金融制度や確定拠出年金に関する取材を行ってきました。そのなかで気が付いた共通点がありました。それは企業年金に関して当局や業界が、ウーバー・ドライバーのようなフリーランスで働く形態の人が主流になる経済、「ギグ・エコノミー」の台頭に注意を払っていることです。
英国:1,000万人も増加した企業年金加入者、次はギグ・エコノミーの担い手
英国は2012年にすべての企業に企業年金を義務付け、従業員が自動加入する制度をスタートさせました。
政府は確定拠出年金を推進する組織「NEST(National Employment Savings Trust、国家雇用貯蓄信託)」を設立して、中小企業の従業員への確定拠出年金の普及を後押ししました。その結果、2018年の導入期限までに、企業年金加入者は1,000万人ほど増え、加入者比率は2012年の46.5%から2018年には76.2%へと急上昇しています。
劇的な加入者数の増加をもたらした効果的な政策だったといわれていますが、英国当局は次の課題として、企業年金の対象になっていないギグ・エコノミーの担い手にどう自助努力を促すかを考え始めていました。
米国:加入手続きをより簡便にした中小企業向けDC
米国でも、複数の企業で共同運用ができるMultiple Employer Plans(MEPs)と呼ばれる企業年金の規制緩和案が議論されています。これは中小企業ほど企業年金の加入率が低く、その改善が求められている中で起きている議論ですが、個人事業主も参加できるように視野を向けようとしています。
こうした中、米国フィデリティでは、より低コストで企業年金を提供できるように、商品をターゲット・デート・ファンド(TDF)だけに絞り、申し込みもWebだけに限定する等、工夫を凝らしています。
日本:iDeCo+の活用を広げる施策が求められる
ひるがえって日本はどうでしょうか。自営業者、なかでも1人で働く人が増え、フリーランサーという言葉がメディアでも多く取り上げられるようになってきました。しかしそのための企業年金としては、明確な議論がなされていないように思います。
制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や国民年金基金がありますし、中小企業向けのiDeCO+もあります。しかし、十分に使われていないのではないでしょうか。非課税上限の少なさにも改善点はありますが、手続きの簡素化など、いかに利用者を増やすかの目線がこれからより重要になってくると思われます。
<<これまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E9%87%8E%E5%B0%BB%20%E5%93%B2%E5%8F%B2)>>
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
改めて知っておきたいiDeCoとNISAの違い、活用法をFPが指南
MONEYPLUS / 2024年5月9日 11時30分
-
NISAでつみたて vs iDeCo―長期の資産形成に合う運用商品が“明確”に打ち出されているのはどちら?
Finasee / 2024年5月1日 17時0分
-
2024年のiDeCoはこう変わる! 拠出限度額が引き上げ予定の公務員・会社員には注意点も
Finasee / 2024年5月1日 15時0分
-
知らずに退職・転職をして損する人が増えている! 企業年金の勘違いが招く「残念な結末」
Finasee / 2024年4月22日 11時0分
-
節税効果が高い! フリーランスが入れる小規模企業共済は掛金全額が所得控除になる!
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月21日 7時0分
ランキング
-
1消えゆく「回転レストラン」…80年代には全国50店→再開発・老朽化で数店舗に
読売新聞 / 2024年5月18日 15時0分
-
2「育休1年+時短勤務で昇進もしたい」は正気の沙汰ではない…「子持ち様VS非子持ち様」の対立が起きる根本原因
プレジデントオンライン / 2024年5月18日 6時15分
-
3農林中金が1兆円規模の増資検討…米金利高で外債の含み損拡大、5000億円赤字の見通し
読売新聞 / 2024年5月18日 23時10分
-
4零細企業、46%が賃上げせず 将来不安で、大同生命調査
共同通信 / 2024年5月18日 19時45分
-
5「株価暴落」引き起こしてしまう意外な"きっかけ" 金融危機のきっかけとなった市場急落のケース
東洋経済オンライン / 2024年5月18日 8時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください