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同一労働でも正規と非正規で給与に差がつく”合理的な理由”とは?

LIMO / 2020年1月8日 21時10分

同一労働でも正規と非正規で給与に差がつく”合理的な理由”とは?

同一労働でも正規と非正規で給与に差がつく”合理的な理由”とは?

2020年4月から中小企業でも同一労働同一賃金導入

「働き方改革」という言葉は、働いている誰もが聞いたことがあると思います。現政権の目玉ともいえるこの「働き方改革」関連法案。その中身は、時間外労働の上限規制、有給休暇の取得義務化、同一労働同一賃金などのいくつかの法改正を含んでいます。

今回は、その中から同一労働同一賃金に焦点を当ててみます。

同一労働同一賃金は何のための制度か

同一労働同一賃金の制度は、2020年4月1日に施行(大企業では2019年4月1日から先行して施行)される制度です。

名前からして、同じ仕事であれば同じ給与を支払うといった制度かなというイメージがあります。専門的に言えば、仕事の遂行能力で給与が決まる職能給から、実際の仕事内容に応じて給与が決まる職務給への転換といったところでしょうか。

しかし、法律でいうところの同一労働同一賃金(実際には、この言葉は法律上どこにも出てきませんが)は、かなり異なる意味合いとなります。

同一労働同一賃金とは、法律上、「正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止」という言葉で表現されています。つまり、正規雇用(正社員)と非正規雇用(パート・アルバイトなど)について、不合理な待遇差を解消しようとするのが改正の趣旨です。

言葉のイメージが先行して、正社員同士で「同じ部署の○○さんは、自分と同じ仕事をしているのに給与が2万円高いのは法律違反だ」と考えてしまうかもしれませんが、そういうわけではありません。

法律が正社員に対する評価制度にまで踏み込むことはありませんし、アルバイト同士の時給の差も問題にはなりません。同業他社の給与水準ももちろん関係ありません。あくまで同じ会社の中の正規雇用と非正規雇用の間の差を問題にしているのです。

問題となる場面は、たとえば自分がものすごく仕事ができるアルバイトだとして、単にバイトだからという理由で正社員よりも少ない給与で働いているというケースです。

飲食店などのサービス業などにおいては、アルバイトリーダーのほうが正社員よりも仕事ができるということもあるかもしれません。こうしたときに同一労働同一賃金について、考えなければならないのです。

給与の合理的な差とは?

単に「アルバイトだから」という理由で給与に差を設けるのは同一労働同一賃金に抵触します。しかし、正社員とアルバイトではそもそもの責任の重さに差がある場合があります。

単にやっている仕事だけを切り取って給与を同じにしなさいというのは、特に正社員にとって簡単に納得できるものではないでしょう。そのため、合理的な理由があれば、差を設けてもよいということになっています。

では、合理的な差というのは何でしょうか?

会社によってさまざまですが、一つ重要なポイントは、「客観性」です。単に、「正社員は将来への期待があるから」というぼんやりした理由だけで差があるとしたら、同一労働同一賃金に抵触するでしょう。

たとえば、「欠員が出た時は優先的に正社員が埋めなければならない」「正社員には転勤や部署移動がある」といった誰でも判断できる事情があれば、それに応じて給与に差を設けることは合理的でしょう。

ただし、給与には上記のような基本給だけでなく、様々な手当てや賞与もあります。

一例として、あまりないかもしれませんが、通勤手当は正社員のみというケースは違法です。通勤手当は通勤に伴う実費補てんの意味合いが強いので、そこには正社員でも非正規社員でも違いはありません。正社員にのみ支給するというのは、まさに合理的な理由がありません。

また、同じ時間働いているのに、正社員にしか食事補助がないというのも認められません。このように、手当がいくつかあるような場合は、一つ一つの手当について差があれば、その理由付けが必要なのです。

さらに、賞与についても、客観的で明確な理由もなく正社員のみを対象にするということはNGということになります。

たとえば正社員にのみついている手当について、なぜ正社員のみなのか理由が明確でなければ、会社に聞くこともできます(今回の法改正では、待遇差がある場合は、会社に説明義務があると定められました)。また、納得できなければ、労基署に訴えやすくなる制度も導入されます。

アルバイトであれば、正社員の給与明細を見る機会はあまりないでしょうから、そもそもどのような手当がついているのかわからないかもしれません。

ただ、もし正社員の給与明細を見て、知らない手当がついていれば、内容を会社に聞いて納得できる説明が得られるかどうかということも、非正規社員の権利として認められるということです。

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