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届かなかった「2020年までに30%」。女性管理職登用への道を阻むものとは?

LIMO / 2020年9月29日 0時10分

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届かなかった「2020年までに30%」。女性管理職登用への道を阻むものとは?

「女性の社会活躍」、というフレーズをメディアで頻繁に耳にしますね。みなさんの周囲、そしてみなさん自身が働く現場では、どれくらいの現実味を帯びたものとなっているのでしょうか。

社会が目標とする「女性活躍」と、当事者である働く女性たちの胸の内に溝があるのではないかと感じる人も多いかもしれませんね。そこで、企業の女性管理職登用の実態や、働く女性たちの「昇進に対する意識」を覗いていきたいと思います。

女性の管理職登用、外資系との差が如実に

2020年9月、在任日数で歴代最長を記録した安倍晋三内閣が総辞職。それにともない、前官房長官であった菅義偉氏を首相として新内閣が発足しました。菅内閣の閣僚20人のうち、女性は2人。女性の活躍推進へ意識が向けられるなかで、女性が管理職を目指すうえでのさまざまなハードルについてもフォーカスしていく必要があるかもしれません。

達成できなかった「2020年までに30%」

2014年、政府は女性の活躍について、「2020年までに指導者的地位にいる人の30%」を目標として掲げました。(※)一方で、2020年3月にエンワールド・ジャパン株式会社が実施した「女性管理職実態調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000004838.html)」によると、政府が掲げている女性活躍躍進についての目標「2020年30%」を知っている人の割合は、外資系企業で57%、日系企業で56%となりました。

また、「2020年30%」の目標を達成できそうかという問いに対して「すでに達成している」「達成できそうな見込み」をあわせると、達成率は外資系企業34%、日系企業23%となりました。

「女性管理職の登用」、何が障壁となっているのか。

さらに、女性管理職の登用でネックになっていることについては、「管理職を任せられる女性の人材がいない/見つからない」外資系企業48%、日系企業59%「管理職を任せたい女性が、管理職になる意思がない」外資系企業36%、日系企業42%という結果も出ています。

日系企業の多くでは、新卒採用・終身雇用の制度が根強く残っています。その一方、外資系企業は即戦力となる「経験者採用」がスタンダードです。これらの文化的背景が女性の社会進出の格差に影響を与えている部分が大きいと考えられます。

また、現在の女性管理職の割合は、外資系企業では「10~29%」が40%と最も多く、一方で日系企業は「10%未満」が54%となっています。

菅新内閣においても、女性閣僚の登用割合は10%。日系企業のスタンダードからいまだ抜け出せていないということになります。

では、なぜ女性は指導者的立場へ採用されづらいのでしょうか。それとも、女性が指導者的立場を避けるのでしょうか。職場の男女格差にも原因はありそうです。

(※)「2020年30%」の目標の実現に向けて(http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/2020_30/index.html) 内閣府男女共同参画局

「キャリアを諦める女性は60%」

2019年12月に世界経済フォーラムより発表された「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数2020(http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202003/202003_07.html)」では、日本は153カ国中121位。

先の女性閣僚の割合を見ても明らかであるように、働く現場ではいまだに女性の活躍に力点が置かれていないことが明らかになっています。

2020年3月に発表されたThe Dream Collective Global Pty Ltdによる「働き方の多様性に関する意識調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000054196.html)」では「現在の職場環境に満足していない」という人が37%(「あまり満足していない」約26%、「全く満足していない」約12%の合計)。その理由を男女別に見ると、「給料が少ない」ことを挙げた男性が57%であるのに対して女性は69%と10ポイント以上の差がありました。

また、「キャリアアップのチャンスはない」と回答したのは、20歳代男性43%に対し20歳代女性60%と、キャリアアップに諦めを感じている女性の多さが認められました。

職場内での男女格差を感じる経験も少なからずあるようです。たとえば、「同じ仕事をしても評価されるのは男性社員」や「同じ役職でも女性はサポート役ばかり」、「育児は女性の仕事という根強い偏見」など。

これらの性差による「働きづらさ」を味わい、キャリアアップを諦める女性も多くいるようです。結婚や出産によるキャリア中断も解決しにくい悩みどころでしょう。では、次に、仕事と育児を両立している「ワーキングマザー(ワーママ)」のリアルに迫ります。

世間が求めるママは「育児も仕事も完璧」!?

「育児休暇からの復職以来、子どもと過ごす時間、さらには自分自身の時間が十分とれない・・・」とはいえ、保育園のお迎えや子どもの急病などで突発休とを余儀なくされることも。そんな日常に、「育児も仕事も中途半端」だと罪悪感をおぼえるワーママもいます。

夫は週1育児で即「イクメン」認定。なにこの理不尽さ?

「月に1,2回の休日出勤の際、夫に子どもを任せています。すると、周囲からは「お休みの日に子どもと遊んでくれる良いパパね」という高評価。

私は平日フルタイム勤務に家事と育児で手一杯。保育園の送迎すらしない夫が、たまに子どもの面倒をみただけで「良いパパ」と言われることに不公平を感じざるをえません」

出産は女性しかできませんが、本来育児は夫婦どちらも可能でしょう。でも、夫の転勤に伴い退職したり、パートタイムでの働き方に変えたりするのは女性側であるケースが圧倒的に多いわけです。男性は何の変化もなくいることが「当たり前」になっていますよね。

育児と仕事の「両立のしづらさ」や、「世間がいう“良いママの像”」にとらわれすぎてしまうと、キャリアを意識しにくくなってしまうのかもしれませんね。働く女性たち自身が、自ら管理職的な立場を目指せる心の余裕を持つことが、現在の日本では難しい傾向にあるのではないかと筆者は感じます。

さいごに

働く女性たちが指導者的立場や管理職ポストを担うことに、いまひとつ積極的になりづらい背景を探ってきました。

そこには職場や世間の男女格差や、仕事と家庭の両立の難しさ、といった現状が、女性がリーダーシップを発揮する機会を奪っている現状がうかがえる結果となりました。さらにいうと、彼女たち自身の「諦め」も混じっているかもしれない、と筆者は感じました。

未達に終わった「2020年30%」という目標。これを机上の空論で終わらせないためには、職場や家庭において、抜本的な「意識」や「思いやり」について考え直していくポイントにきているのかもしれません。

【参考】
「新閣僚ってどんな人? 菅内閣20人の横顔(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63941930W0A910C2000000/)」日本経済新聞
「『2020年30%』の目標の実現に向けて(http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/2020_30/index.html)」内閣府男女共同参画局
「女性管理職 30%を目指す『2020年 30%』の達成率 外資系企業 17%、日系企業8%で約2倍の差 エンワールド・ジャパン 女性管理職 実態調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000004838.html)」エンワールド・ジャパン株式会社 PR TIMES
「世界経済フォーラムが『ジェンダー・ギャップ指数2020』を公表(http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202003/202003_07.html)」内閣府男女共同参画局総務課
「働き方の多様性に関する意識調査」~全国の働く男女800名に調査~(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000054196.html)」The Dream Collective Global Pty Ltd. PR TIMES

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