親世代とは大違い!? 20〜30代社会人の「貯蓄意識と理想の働き方」
LIMO / 2021年5月26日 18時35分
親世代とは大違い!? 20〜30代社会人の「貯蓄意識と理想の働き方」
現在20代後半~30代のミレニアル世代と20代前半のZ世代(下は2015年生まれ頃まで)は、どちらもデジタルネイティブ世代と言われますが、生まれた時期によって線引きされています。
40代の筆者からすると両者とも今どきの若者で、さほど違いがないように感じますが、実際はそうではないようです。では、これらの世代は「初任給」や「理想の働き方」についてどういう意識を持っているのでしょうか。
松井証券株式会社が全国の社会人1〜3年目※(以下、Z世代)と、社会人4〜18年目※(以下、ミレニアル世代)の男女600人を対象にした実態調査を実施していますので、世代間で微妙に異なる違いを見てみましょう。※2021年4月1日時点
Z世代はミレニアル世代を上回る貯蓄意識の高さ
まず、2021年の新社会人を除く、入社2年目以上の社会人に「給料を貯蓄に回していますか」と聞いたところ、「貯蓄に回している」と回答したのは約8割。
また、Z世代とミレニアル世代それぞれに、給料から貯蓄に回せるようになったのは社会人何年目からかを聞いたところ、Z世代の平均値は「社会人1.4年目」、ミレニアル世代では「社会人2.8年目」となっています。
さらに、「社会人1年目から貯蓄ができていた」の割合を見ると、Z世代が76.6%、ミレニアル世代が56.3%。
半数以上が社会人1年目から貯蓄できているミレニアル世代も貯蓄意識は十分高いといえますが、Z世代は、そのミレニアル世代を上回る高い割合で貯蓄ができているという結果でした。
Z世代は初任給から貯蓄する堅実派
次に、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい始めた2020年入社の社会人2年目と、コロナ第4波の真っ只中にある2021年入社の新社会人に、初任給で自由になるお金の使い道(住居費、水道光熱費、通信費などの生活費を除く)を聞いたところ、上位3つの回答は図表1の通りでした(複数回答)。
2021年入社世代と2020年入社世代のどちらも、貯蓄を一番に挙げており、特に2021年入社では7割が初任給の使い道として貯蓄を選んでいるという結果になっています(図表2参照)。
そして、驚きなのがその貯蓄額。2020年入社世代が初任給から貯蓄した金額(平均値)は「8.8万円」、2021年入社世代が初任給から貯蓄に回したい金額(平均値)は「9.3万円」でした。
ちなみに、厚生労働省が発表している「令和元年賃金構造基本統計調査結果」によると、大卒の初任給の平均が21万200円ですから、初任給の4割~半分近くを貯蓄している計算になります。コロナ禍の中で入社した世代は、親世代よりずっと貯蓄意識が高いようです。
Z世代、ミレニアル世代の理想の働き方
次に、コロナ禍を経て働き方に変化が出たかを聞いたところ、「ある」「どちらかと言えばある」の合計は約半数の50.2%。
世代別では、Z世代で働き方の意識に変化ありと答えた人の割合は51.6%、ミレニアル世代は49.2%(「ある」と「どちらかと言えばある」の合計、以下同)と、世代に関係なく2人に1人は意識に変化が出たようです。
また、理想的な働き方を聞いたところ、約半数が「副業から収入を得る(49.2%)」と回答。次いで、「終身雇用(安定して長く働くこと)(28.8%)」「アーリーリタイア(不労所得のある早期退職)(21.8%)」という結果でした。
あわせて、副業から得たい理想的な金額も聞いたところ、本業にプラス10万円(中央値)となっています。
世代別で見てみると、「副業から収入を得る」「アーリーリタイア(不労所得のある早期退職)」「会社の所在地とは離れた地域に住む」では、それほど違いは見られません(図表3参照)。
一方、Z世代とミレニアル世代の間で違いが見られた項目もあります。まず「お金を貯めて独立」は、Z世代では副業に次ぐ2位、ミレニアル世代では4位。一方、「終身雇用(安定して働くこと)」ではミレニアル世代で2位、Z世代で3位で、ミレニアル世代の方が約10ポイント高くなっています。
終身雇用も捨てがたいミレニアル世代
ミレニアル世代は、副業からの収入やアーリーリタイアを希望しながらも、Z世代と比べると終身雇用を求める割合は高くなっています。
ミレニアル世代は、大体20代後半~30代後半くらいですから、ちょうど結婚やマイホームの購入を検討するタイミングに当たるでしょう。そうなると、安定的な収入を求めるのも無理はなく、独立よりは副業から収入を得るという本業にプラスαする働き方が理想とされるのかもしれません。
柔軟な働き方を求めるZ世代
社会人になってすぐコロナ禍を経験した、もしくはコロナ禍で就活をしたZ世代は、いきなり厳しい現実を目の当たりにしています。テレワークや副業を認める企業が増えつつあるなかで、会社に依存する働き方でなく、スキルを活かした多様な働き方を求めているようです。
おわりに
Z世代とミレニアル世代は、どちらの世代も子供から大人へと成長する時期に景気低迷の時代を過ごしており、年功序列や終身雇用が当たり前だった世代とは育った環境が異なります。
社会人1年目から給料を貯蓄に回す手堅さは、将来への不安の表れでもあるでしょうが、見方を変えれば将来を見据えての自分への投資だともいえます。
コロナ禍で雇用環境が大きく変化する中、Z世代やミレニアル世代は親世代が考えている以上に、時代の流れを敏感に捉えて行動しているのかもしれません。
参考資料
「初任給」と「理想の働き方」に関する世代別の実態調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000140.000019241.html)(松井証券株式会社)
令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/01.html)(厚生労働省)
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