1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

年収1200万円以上は児童手当廃止 みんなの意見は?

LIMO / 2021年6月2日 18時35分

写真

年収1200万円以上は児童手当廃止 みんなの意見は?

年収1200万円以上の高所得世帯への児童手当を廃止する改正児童手当関連法が5月21日、参院本会議で成立しました。手当の廃止で浮いた財源は、待機児童解消のために充てられます。

2022年10月分から手当が廃止されることになる今回の決定。今回の児童手当廃止によって、何がどう変わっていくのでしょうか。そもそもなぜ児童手当の廃止が決まったのかなど、このあと詳しく解説していきます。

月5000円の特例給付が廃止に

まず、現在の児童手当について見ていきましょう。

現行の制度では、中学校卒業までの子ども1人について毎月手当が支給されます。金額は下記の通りです。

・3歳未満…1万5000円
・3歳以上…小学校終了前まで1万円(第3子以降は1万5000円)
・中学生…1万円

しかし親の所得によって限度額があります。たとえば会社員の夫と専業主婦の妻、子ども2人の世帯では夫の年収が960万円を超えた場合、「特例給付」として支給額は子ども1人につき一律5000円となります。

この一律5000円の手当について、今回の改正で年収1200万円以上の高所得世帯は対象外となることが決まったのが今回の法改正です。

これによって、夫婦どちらかの年収が1200万円を超える世帯への給付が、2022年10月分からゼロになります。廃止対象は児童手当をもらう世帯のうち4%で、約61万人と見込まれています。

社会保障費の削減が背景に

それでは、児童手当がなぜ見直されたのでしょうか。

この背景には、医療や介護、年金など「社会保障費」の急激な増加にあります。このままでは制度の存続自体が危ぶまれるため、支出の中身をしっかりチェックする必要性が高まったためです。

少子高齢化への対策が叫ばれる中、子ども・子育て関係の費用についても「本当に必要なものだけに絞り込むべきだ」という議論がなされてきました。

厚生労働省が行った児童手当に関する調査によると、世帯年収が高いほど、「使う道をまだ決めていない・わからない」という回答が多くなっています。つまり、高所得世帯ほど、手当がすべて子どものために使われているとは限らないということです。

また、2019年10月からはじまった幼児教育・保育無償化も、結果的に手当廃止を後押しすることとなりました。

無償化により子育て支援がより手厚くなったのは事実。そのタイミングで痛みを伴う制度改革も同時にしておこうという政府の思惑があったのかもしれません。

児童手当の廃止により、内閣府の資料によると、一年で約370億円の財源になると見込まれています。約370億円の財源は、待機児童対策に充てられることになっています。

所得制限は「世帯」ではないことに注意

今回の児童手当の所得制限については、注意点があります。「夫婦一方」の年収だけで判断されます。「世帯年収」ではありません、仮に、夫婦ともに年収1000万円で、世帯年収2000万円でも、児童手当を受給できます。

国の制度を活用する条件は、細かく見ていくようにしていきましょう。

手当廃止は「不公平感」を生み出す可能性

「年収1200万円以上もある世帯に、毎月5000円の手当なんて痛くも痒くもない」こう思われる方もいるかもしれません。

ただ、問題はそこまで単純ではないと筆者は考えます。

なぜなら、年収1200万円の高所得世帯のなかには、仕事に打ち込み続けて稼いだ人も多くいるからです。頑張れば頑張るほど手当が減る政策に不公平を感じる人がいても不思議ではありません。

そもそも、日本では、収入が多ければ多いほど課税金額が増える「累進課税制度」を適用しています。このため、高所得者ほど多く納税しているというのが一般的です。

さらに、高所得者の世帯は高校無償化の対象からも外れているため、学費の負担が一般的な世帯よりも大きくなる傾向にあります。制度の改革には必ず「割を食う」人が一定数生まれてしまうのは仕方のないことですが、当事者の税負担を考えるとさらなる議論が望まれるところです。

今後も動向に注意

今回の児童手当廃止の法改正が報じられると、SNSなどでは「年収1200万円ももらっているんだから子ども1、2人なら余裕でしょう」、「うちは子ども3人でカツカツ」とコメントする人がいる一方で、「睡眠時間削って頑張って稼いでいるのに自分たちは手当が削られて、ゆるく働いてるような世帯が手当をもらえるのはおかしい」といった声も目立ちました。

今回の特例給付の廃止は、各方面からさまざまな意見が出ています。今後も年収の上限が変わったり、あるいは夫婦どちらかではなく世帯合算が条件となったりする可能性も十分に考えられます。引き続き注目していきましょう。

参考資料

内閣府「児童手当制度のご案内」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)

内閣府「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の概要」(https://www.cao.go.jp/houan/pdf/204/204_2gaiyou.pdf)

厚生労働省「平成24年児童手当の使途等に係る調査」(https://www.mhlw.go.jp/content/11906000/000581578.pdf)

政府広報オンライン「幼児教育・保育の無償化のこと」(https://www.gov-online.go.jp/cam/shouhizei/youhomushouka/)

 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください