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60代老後資金対策の必須項目。見落としがちな「預金はリスク」

LIMO / 2021年6月13日 19時15分

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60代老後資金対策の必須項目。見落としがちな「預金はリスク」

老後資金問題への対策として、定年後もなるべく長く働いて稼ぐこと、年金受取開始時期を遅らせること、生活を見直すこと、などが重要だと筆者(塚崎公義)は考えています。

定年後も元気な間は働く

自営業者は定年がありませんから、元気な間は現役として働き続けることができるでしょうし、そうする人が多いでしょう。

サラリーマンの多くは60歳で定年になるでしょうが、定年後も元気な間は働きましょう。働き方としては定年後再雇用や転職や起業等があります。いずれも一長一短でしょうが、収入面のみならず、社会との接点を保つこともできますから、働けるならぜひ働きましょう。

定年後再雇用は知らない世界に飛び込む必要がない一方で、昔の上司にお仕えするなど、お互いにやりにくいことも多いでしょう。延長期間もそれほど長くないかもしれません。

転職は、今までの経験が活かせるならば職場で再び輝けるのでしょうが、新しい職場に馴染めるか、不安でしょう。起業は宮仕えの苦しさがない一方で、失敗のリスクも小さくなさそうです。大切な退職金を失ってしまわないように、少ない資金で始められる仕事を選びましょう。

転職や起業の今ひとつの懸念は、退職直前に探しても簡単には見つからないかもしれない、ということです。それならば、出世競争が一段落して先が見えた段階で退職後の仕事について真剣に考え始めましょう。

可能であれば副業として他社で働いてみてはいかがでしょうか。そのまま転職しても良いですし、副業先でノウハウを吸収して起業する、といったことも可能かもしれませんね。

ただ、定年後に働く際には守るべき心得があります。それは、謙虚にすることです。今までは年功序列の上位に位置していたわけですが、全く違う世界に飛び込むわけですから、少しでも偉そうにしていると新しい職場で疎まれてしまいかねません。マインドセットをしっかり切り替えましょう。

年金受取開始を遅らせる

公的年金は、65歳から受け取り始めるのが原則ですが、60歳から70歳の間で受取開始時期が選べます。当然ながら、早く受け取り始めると毎回の受取額が少なくなり、待ってから受け取り始めると毎回の受取額が多くなります。70歳まで待つと、65歳の時より毎回の受取額が42%増えることになるのです。

公的年金は、長生きしてもずっと受け取れますし、インフレが来ても原則としてインフレ分だけ支給額が増えますから、老後資金の最強の味方です。これが42%増えるのであれば、70歳以降は安心して暮らせるはずです。

ちなみに標準的なサラリーマンと専業主婦は夫婦2人で毎月22万円の年金が受け取れるとされていますから、それが42%増えれば、老後資金はほぼ心配ないでしょう。

60歳以降もできるだけ働いて生活費を稼ぎ、妻も子育てが一段落したら働いて稼ぎ、足りない分は現役時代の蓄えや退職金、企業年金、等々を用いて生活し、手元の資金が数百万円になったら年金の受け取りを開始する、というのが筆者のお勧めです。

数百万円は、万が一の時のために確保しておき、何事もなければ葬儀費用として相続されることになるわけです。

生活にかかる費用を見直す

定年退職したら、生活を見直しましょう。ケチケチするのではなく、大きな支出項目について本当に必要か否か検討してみるのです。

家計簿などなくても、銀行の通帳とクレジットカードの利用明細があれば、大きな支出項目は見当がつくでしょうから、それほど手間はかからないはずです。

まず第一は生命保険です。退職金を受け取った人に万が一のことがあっても、遺族は悲しむことはあっても路頭に迷うことはないでしょう。子供も自分で稼げる年齢でしょう。それなら、生命保険は不要ですね。

すでに払い込んだ分まで解約するか否かはともかく、今後の保険料の払い込みはやめましょう(払い済みにする、と言います)。

通勤に使っていた自動車があれば、それは処分する方向で検討しましょう。自動車は維持費や買い替え費用等々が高いので、可能ならば公共交通機関を使うようにしましょう。タクシー代を相当ぜいたくに使っても、お釣りがくると思いますよ。加えて、駅まで歩くことで健康が維持できますから、一石二鳥ですね。

現役時代に読んでいたビジネス雑誌等々についても、今後は読まないのであれば定期購読を解約しましょう。自動継続で代金が自動引き落としになっていると、つい解約を怠って無駄な購読費用を払い続けることになりかねないので、要注意です。

預金はリスク資産だと心得る

退職金を受け取った元サラリーマンの金融資産は、大半が銀行預金になっているかもしれません。預金は株や外貨と違って値下がり損を被る心配がないので、安全だと思っている人も多いでしょうが、実は預金もインフレで目減りするリスク資産なのです。これは意外と見落としがちかなことかもしれません。

インフレの記憶が薄れてしまった人も多いと思いますが、過去には確かにインフレがありましたし、今後もあるかもしれません。筆者が心配しているのは少子高齢化によるインフレと大災害によるインフレです。

少子高齢化で労働力不足が深刻化すれば、賃金が上がってインフレになりかねません。現役世代は賃金が上がるので良いかもしれませんが、高齢者は銀行預金がインフレで目減りして老後の生活が脅かされる可能性があるわけです。

南海トラフ大地震で多くの建物が倒壊すれば、復興資材も食料も決定的に不足して超インフレになるかもしれません。復興資材の輸入等々でドルが高騰し、輸入物価も高騰するでしょう。

そうしたインフレのリスクに備えるためには、少しずつ株と外貨(具体的には日本株投信と米国株投信)を買っておくと分散投資になり、ひどい目に遭う可能性が減るでしょう。

そうは言っても、退職金で一度に巨額の投信を買うのは危険です。数年間かけて少しずつ買っていく、その後は数年間かけて少しずつ売っていく、ということが時間分散として重要と言えるでしょう。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事リスト(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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