【知らなきゃ損】老後の年金を「4割」増やす方法とは？

老後の生活を支える大きな収入源である、年金。「年金だけでは生活できない」「そもそも年金をもらえるかわからない」など、年金に対して不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

私はこれまでファイナンシャル・アドバイザーとして多くのお客様のファイナンシャル・プランニングを担当させて頂きました。

もらえる金額が減る可能性もあると言われている年金ですが、実はある方法によって、受け取る年金額を増やす方法があります。そこで今回は、年金受給額を「4割」増やす方法についてお伝えしていきます。

年金制度の基本をおさらい

それでは、最初に日本の年金制度からみていきましょう。日本の年金制度は以下のように、2階建てになっています。

1階（国民年金）：日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務

2階（厚生年金）：公務員や会社員などが国民年金に上乗せして加入

一定の受給要件を満たしていれば、65歳から年金を受け取ることができるのが原則です。

「繰り下げ受給」で年金を4割増やす

では、さっそく年金受給額を増やす方法についてお伝えしていきます。

老齢年金の受給年齢は原則65歳からと決まっています。この受給開始年齢を遅らせることを「繰り下げ受給」と言い、また受給開始年齢を早めることを「繰り上げ受給」と言います。

繰り上げ・繰り下げ受給を利用することで、年金額は下記のとおりに増減します。

繰り上げ受給：繰り上げた月数×0.5％減額

繰り下げ受給：繰り下げた月数×0.7％増額

現在の繰り下げ上限年齢は70歳です。仮に70歳まで繰り下げ受給をした場合、受給年金額の増額率は下記のとおりになります。

0.7×12ヶ月×5年＝42％

さらに、2022年4月からは繰り下げ受給年齢の上限が75歳まで引き上げられます。

そうすると、受給額の増額率は最大で84％まで増やすことができます。

厚生労働省年金局の「令和元年（2019年）度厚生年金・国民年金事業の概況」による国民年金の平均受給額は下記のとおりです。

国民年金：5万5946円

仮に、75歳まで繰り下げをした場合の年金受給額は下記のとおりです。

5万5946円×1.84＝10万2940円

自営業の方や専業主婦の方は、国民年金だけの受給になる方が多いでしょう。毎月の受給額を5万円台から10万円以上に増やせるのはとても心強いですよね。

この繰り下げ受給の制度は、国民年金と厚生年金の両方、または国民年金と厚生年金のどちらか片方だけでも利用できます。

繰り下げ受給を「選択肢」として持つには

受給開始年齢を引き下げるほど、年金受給額が増額するのが「繰り下げ受給」のメリットです。

しかし、厚生労働省年金局の同データによると実際この制度を活用している方は、全体の約1％前後にすぎません。

一方、繰り上げ受給の利用者は10％以上の方が利用しています。

中には、この繰り下げ受給の制度自体を知らない方もいるでしょう。ただ、老後の貯蓄が足りずに繰り下げ受給をできる状況ではない可能性もあります。

老後の生活について、年金だけでは生活費が2000万円足りないという金融庁のレポートもありましたが、介護・住宅費用やライフスタイルに関する費用などを含めると、さらにお金が必要になります。

仮に、老後までの30年で3000万円を無利子で貯めようとすると、毎月8万円以上の貯金を継続しなくてはいけません。

これを、資産運用を活用して年平均6％程度の利回りで30年間運用できれば、毎月3万円ほどで実現可能となるのです。やはり、運用の力は大きいですよね。

老後のためにまとまった資産形成ができていれば、「繰り下げ受給」も選択する余裕が生まれるのです。

まとめにかえて

老後に必要な資金はひとそれぞれ違いますが、何千万円というある程度まとまった資金が必要なのは皆一緒です。

それだけのお金を準備するには、やはり時間が必要です。まだまだ老後まで時間がある今だからこそ、余裕をもって老後資金の準備にとりかかりませんか。

参考資料

厚生労働省年金局「令和元年（2019年）度厚生年金・国民年金事業の概況」（https://www.mhlw.go.jp/content/000706195.pdf）

熊谷 良子「国民年金・厚生年金「受取額を4割増やせる」方法」（LIMO）（https://limo.media/articles/-/23098）