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年金受給額を増やす“おトクな制度”だが、利用者はわずか「1.2%」という現実…お金のプロが「年金繰り下げ受給」を激推しするワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月13日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

増えない給与、減り続ける年金、にもかかわらず、平均寿命はどんどん延びている日本人……こうした状況で、多くの人は「老後に対する不安」を抱えています。そこで今回、年金受給額を増やす方法として「年金繰下げ受給」をすすめる理由と、そのほか老後の資産を増やす方法について、『老後のお金、本当に足りますか?』(オレンジページ)著者で家計再生コンサルタントの横山光昭氏が解説します。

これからの時代、年金は「繰り下げ受給」がおすすめ

年金は受給年齢を遅らせるほど「増える」

国民年金も厚生年金も、現在支給開始の年齢は65歳。しかし、年金の支給開始年齢は実は60歳から75歳まで選べます。

そのため、65歳より前にもらい始める「繰り上げ受給」を選ぶ人もいれば、65歳よりも後に支給開始年齢を設定する「繰り下げ受給」を選ぶという人も。「繰り上げ受給」を選ぶ人は、「60歳で定年退職したものの、65歳の年金支給開始の年齢まで心もとない」という人が多いようです。

ただ、この「繰り上げ受給」には「1ヶ月につき0.4%減額されてしまう」というデメリットがあります。最大で24%が減額され、長く生きた場合には年金の総額としては目減りすることに。

では、「繰り下げ受給」はどうでしょうか? 年金は「受給年齢を遅らせることで、もらえる年金を増やす」ことができます。

受給を65歳から繰り下げることで1ヶ月に0.7%金額が増えていきます。最大で75歳まで繰り下げができ、計算すると年金の額は本来の受給開始に比べると184%に!

例えば厚生年金が月に16万3,000円もらえる男性が65歳で受給すると、年金額は年間195万6,000円。これを70歳から受給すると、年間277万8,000円、75歳から受給すると年間359万9,000円となります。

ただし、配偶者と死別して遺族年金※1の受給権を持つ方は、繰り下げ受給はできません。繰り下げしている最中に配偶者の死亡などで受給権を持った場合は、その時点で繰り下げが終わります。

また、加給年金※2・特別支給※3・振替加算※4の老齢厚生年金は繰り下げ受給の対象外となります。

※1 遺族年金……国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなったとき、その被保険者によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金。 ※2 加給年金……厚生年金受給者に一定の条件を満たした配偶者や子どもがいる際、老齢厚生年金額が割り増しされる制度。 ※3 特別支給……65歳よりも早く老齢厚生年金を受給できる制度のこと。 ※4 振替加算……加給年金が打ち切られた後、配偶者の老齢基礎年金に振り替えられる年金のこと。生涯受け取ることができる。

〈ここがポイント〉

年金受給は、遅らせるほど金額を増やすことができる

受給額は増えるが…多くの人が「繰り下げ受給」を選ばないワケ

年金額が大きく変わってくる「繰り下げ受給」ですが、実は現在は利用者が少ないのが実情です。令和3年度の厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」によれば、繰り下げ受給を選択しているのは厚生年金受給者で1.2%、国民年金のみの受給者で1.8%となっています。 ※令和3年度「厚生年金保険・国民年金事業年報」

徐々に増えてきてはいるのですが、なぜ繰り下げ受給をしている人が増えないのか? それは「いま得られる利得を優先したい」と思っている人が多いからでしょう。

支障がないならぜひ「繰り下げ受給」検討を

しかし、実は一番金銭的にお得なプランは「75歳まで問題なく生活できるような収入もしくは貯蓄を確保し、年金を目いっぱい繰り下げてから受給」というものなのです。

もし健康上の問題がなく、長生きしそうだという人は、老後のライフプランを考えるときに、「繰り下げ受給」を前提に考えてみることをおすすめします。

老後資金づくりに最適?…誰でも加入でき、節税効果が高い「iDeCo」

iDeCo(イデコ)とは、2001年より制度が始まった「個人型確定拠出年金」のこと。

厚生労働省があつかう「年金の仕組み」を3階建て構造とすると、iDeCoは「3階」部分の制度。1階部分が「国民年金(基礎年金)」、2階部分が「厚生年金」、3階部分が「企業年金」「国民年金基金」「個人型年金(iDeCo)」です。毎月一定額を積み立てていき、60歳以降に受け取ることができる制度で、つまり「自分のために老後資金を積み立てる制度」と言えます。

iDeCoと通常の年金が違うのは、iDeCoは「自分で運用方法を選ぶ」ものであるということ。運営管理機関が選定する運用商品の中から、自由に組み合わせて運用します。通常の貯金と違い、運用益が見込めるところが最大のメリットと言えるでしょう。どんな人でも加入が可能です。

※ iDeCo……2016年よりスタートした個人型確定拠出年金で、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金。

〈iDeCoの特徴〉

●会社員やフリーランス、専業主婦(夫)、どんな人でも加入できる。

●厚生年金保険に加入している人(第2号被保険者)は60歳以降も加入可能。国民年金加入者は、60歳以降も任意加入しているなら加入可能に。

●掛け金は毎月5,000円からで、1,000円ごとに設定できる。ただし加入区分によりかけられる金額に上限がある。

●原則60歳から受け取ることができ、75歳までの間で自由に選ぶことができる。一時金で受け取る、年金で受け取るなど受け取り方法を選ぶことができる。

「知らずにはじめる」のは危険…iDeCoのメリット・デメリット

ただし、このiDeCoにも、メリットとデメリットがあります。

●メリット

・掛け金が全額所得控除されるので、所得税・住民税の軽減になる

・運用益が非課税となる

・受給時には所得控除を受けられる

※ 運用益……資産運用による収益のこと。利息や配当金のほか、有価証券売却益なども含まれる。

●デメリット

・選ぶ商品によっては、元本割れの可能性がある

・専業主婦(夫)や働いていない人の場合は、所得控除の恩恵を受けにくい

・積み立てたお金は原則60歳まで引き出すことができない

iDeCoは国民年金のように「毎月払い込めば終わり」というものではなく、自分自身で運用益を確かめ、商品を選択する必要があるものになります。

また、基本的には一度始めてしまうと60歳までは解約は不可(減額は可能)。そのため、子の進学やリフォームなど大きな出費が必要になったときに利用する、ということはできません。

それらを踏まえたうえで、無理のない範囲で老後の資産形成に活用することをおすすめします。

横山 光昭 株式会社マイエフピー 代表 家計再生コンサルタント

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