「業務スーパー」の神戸物産がコロナ禍で大躍進
LIMO / 2021年8月8日 12時0分
「業務スーパー」の神戸物産がコロナ禍で大躍進
外食関係者など「プロしか入店出来ない」というイメージもあった『業務スーパー』を展開する神戸物産の成長が続いています。タピオカブーム時に冷凍タピオカでブレイクした後、コロナ禍による巣ごもり消費で更に成長が加速しました。
デルタ株によるコロナ感染拡大で再度首都圏などに緊急事態宣言が発出される中で、神戸物産はAI活用店の実験を8月から開始して次の成長を模索します。同社の成長がどこまで続くのか注目されます。
年間40~50億円で営業利益増 業績の上方修正も
『業務スーパー』を展開するのは兵庫県加古川市に本社を置く神戸物産<3038>です。近年は『業務スーパー』や神戸物産の名前を聞くことも多くなりました。
まず、神戸物産の業績を見ていきましょう。
2018年10月期:売上高2672億円、営業利益157億円、当期純利益104億円
2019年10月期:売上高2996億円、営業利益192億円、当期純利益121億円
2020年10月期:売上高3409億円、営業利益239億円、当期純利益150億円
2021年10月期:(予想) 売上高3580億円、営業利益294億円、当期純利益200億円
これまで年間約40億円のペースで営業利益の増益が続きましたが、2021年10月期の営業利益は対前年同期比で50億円以上の増益が予想されています(当初の予想を6月に上方修正)。
「タピオカブーム」火種に来客数が増加
かつては、『業務スーパー』=プロ専用の店、というイメージがありました。そのイメージを払拭した切っ掛けはタピオカブームです。タピオカブームの際に自宅でできるタピオカティーがメディアで紹介されることも多くなり、その際にタピオカそのものを購入できる店として『業務スーパー』が紹介されました。
『業務スーパー』で販売されていた冷凍タピオカはタピオカブームの中で売り切れ店が続出し、同社成長の起爆剤となります。
同時に『業務スーパー』自体のメディア露出の結果、『業務スーパー』=プロ専用の店、というイメージの払拭がなされました。また『業務スーパー』で販売されるユニークな食材の紹介も数多くされることで、個人客が『業務スーパー』を訪れる契機となります。筆者もタピオカブームを機に近所にある『業務スーパー』を度々訪れるようになりました。
2020年のコロナ禍とともにタピオカブームは去りますが、緊急事態宣言で外出が制限される中、巣ごもり消費を背景に『業務スーパー』の業績は更に拡大します。タピオカブームを機に『業務スーパー』の知名度が大幅に上がった結果、コストパフォーマンスに優れる『業務スーパー』は人気化し、更に業績を伸ばすことに成功しています。
『業務スーパー』はタピオカブーム、そしてその後のコロナ禍での巣ごもり消費の2つの潮流を乗り継ぐことに成功して成長を続けています。
AI活用でおすすめ商品やレシピを提案 ソフトバンクと業務提携
『業務スーパー』の成長により増収増益を続ける神戸物産ですが、神戸物産自体は『業務スーパー』の店舗運営は2店舗しか行っていません。神戸物産は『業務スーパー』のFC本部であり、コンビニのFC本部と同じ立ち位置にあり、同社の役割はFC加盟店の募集及びフォロー、FC店に卸す商品開発と製造が中心です。
2020年10月期の同社の営業利益率は約7%であり、利幅が薄い食品等を取り扱う小売店としては高い利益率を誇りますが、FC本部の立ち位置が高い利益率の背景にあります。
ワクチン接種の進展で終息するかに見えたコロナ禍ですが、デルタ株の感染拡大が急速に進み、再び8月に首都圏・大阪・沖縄へ緊急事態宣言の発出がなされました。よってまだ同社の快進撃は続くと考えられます。
しかしワクチン接種の進展とともにコロナ禍も終息が予想されます。その中で同社はソフトバンクと業務提携を行い、AI活用による次世代型スーパーの実験を『業務スーパー天下茶屋駅前店』(大阪市西成区)で8月から開始するなど新たな取り組みも開始されます。
アフターコロナが近付く中で、今後も神戸物産は成長を続けることができるのか、神戸物産の業績の行方がも注目されます。
参考資料
2018年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/balancesheet/28/28_1_20181215.pdf)
2020年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/balancesheet/30/30_1_20201214.pdf)
連結業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ (https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/682/682_202106112.pdf)
有価証券報告書(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/report/35/35_securities_report.pdf)
株式会社神戸物産・ソフトバンク株式会社「AI などを活用してお客さまの満足度向上を実現する(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/684/684_20210621.pdf)次世代型スーパーの実験店舗を構築」(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/684/684_20210621.pdf)
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