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ESGはきれいごとにあらず!株式投資への活かし方を解説

LIMO / 2021年11月1日 11時45分

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ESGはきれいごとにあらず!株式投資への活かし方を解説

近年、テレビやネットなど多くのメディアで「ESG」という言葉を頻繁に見聞きするようになりました。「企業の社会貢献でしょ?」「環境に優しい活動のことだよね?」といったように漠然としたイメージを持っている人も多いでしょう。今回はこのESGに焦点を当て、基礎知識や実際のビジネス・金融市場での動き、そして投資での生かし方も紹介していきます。

よく目にするようになったESGとは?

まず、ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの英単語の頭文字を組み合わせた言葉。「環境」とは、具体的には公害や資源、地球温暖化といった領域です。同様に「社会」とは人権や労働、地域などで、「企業統治」とは不正防止や事業の公平性、株主利益の配慮などの領域です。

そして、各企業を「環境・社会・企業統治」の3つの視点で捉え、投資する上での評価基準に加えようという考え方がESG投資。こういうと「お利口さんな企業に投資する」といったある種表面的できれいごとのような考え方と捉えられがちです。

しかし、実際はもっとシビアなもの。ESG投資の根底には、「ESGへの配慮ができていない企業は企業価値が毀損(きそん)している」という、投資家として至極当然な経済合理的考え方があるからです。基本的には国内外の機関投資家をメインに広がりつつある考え方であるものの、上記の理由から個人投資家も意識せざるを得ないテーマです。

明確にビジネス・株式投資の世界で影響が!~脱炭素のケース~

ここからは、ESG普及を背景としたリアルな動きについて紹介します。今回取り上げるのはESGの中の「E(環境)」について、特に動きが活発なテーマである「脱炭素」を解説していきます。

二酸化炭素(CO2)排出による地球温暖化の進行を抑制しようという狙いから、事業会社や金融機関において化石燃料事業からの撤退が進められています。

たとえば、三菱UFJ銀行や三井住友銀行といった国内メガバンクや日本生命などの大手保険会社では、石炭火力発電向けの新規融資が停止されました。投資会社では、野村アセットマネジメントが2030年を目安に、運用資産の「過半数」を温暖化ガス排出量実質ゼロの企業に割り振ると発表。第一生命保険も、運用ポートフォリオの脱炭素を目指す機関投資家の国際的イニシアチブに加盟しています。

このように、「地球温暖化につながる事業にはお金が向かわない」という潮流が急速に広まっています。投資家の文脈で説明するならば、「事業環境悪化に伴う減収減益や、関連資産における評価価値切り下げによる損失を避けたい」といったところだと推測されます。

また、化石燃料を主要事業とする会社でも脱炭素は進んでいます。以前から石炭事業に対する批判を受けていた豪英資源大手のBHPグループは、コロンビアの炭鉱の権益を売却すると発表。石油メジャーの英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルも、ESG投資の普及を受けて機関投資家による評価を意識した経営にシフトすると報じられています。同じく石油メジャーの米エクソンモービルでは、投資ファンドが推薦した環境保護派2名が取締役に選任されました。そのほか、間接的な事業でも幅広く脱炭素は進み、国内では建機メーカーのコマツも売上高に占める石炭鉱山向け機械の比率を引き下げると報じられています。

ESGの考え方を起点に、国内外ではこのような変化が次々と起こっています。「お金が集まらない」「商売が細っていく」といった生々しい潮流を知れば、ESG投資が決して「表面的なきれいごと」ではないことがおわかりいただけると思います。

株式投資での生かし方

ここまで、ESGの基礎知識や実際のビジネス・金融市場での動きについて解説してきました。では、これを踏まえて個人投資家は何を意識すればよいのでしょうか。

結論からいえば、「海外の機関投資家におけるESG投資の情報をキャッチアップし、それを踏まえて企業を観察し、優良銘柄を選ぶ」ことが重要だと考えます。ESG投資の源流は海外の機関投資家にあり、日本国内の動きはそれに沿う形で広まるケースが多いからです。最上流でどのような動きが起こっているかをニュースなどで把握することで、「将来的に買われる株・売られる株」を考えるうえでのヒントが得られるでしょう。

たとえば、一部メディアによると、米政府は企業年金のESG投資推進を目的に年金基金向け規則を改正し、気候変動リスクや従業員の多様性なども踏まえて投資先を選べるようにするといいます。こうした情報を受け、「気候変動リスクや従業員の多様性に優れた会社はどこか?」という視点を持つと、これまでと一味違った企業選びができるようになるでしょう。

さらに、企業分析のポイントもお伝えします。近年、自社サイトや決算説明資料内で自社のESGの取り組みを説明する企業は増えてきています。しかし、企業によって対外的な見せ方や実際の取り組み内容において濃淡があることがよく見るとわかります。「取り組み内容は素晴らしいが見せ方が弱い」「見せ方はうまいが取り組みの内容が弱い」などいろいろなケースが見つかるが、「投資家に評価されやすい取り組み・開示をしている企業はどこか?」という目線を持つと、より効果的な企業選びができるでしょう。

また、隠れた優良株を探すのもESG投資の醍醐味。ESGの視点で企業選びをしたことのある投資家なら感じたことがあるかと思いますが、関連性が強ければ強いほどすでに高いバリュエーションがついているケースは多いのです。

たとえば、再生エネルギー関連企業などは幅広く買われ、手の出しづらい株価水準になっているものも散見されます。

しかし、脱炭素の話でも説明した通り、間接的な事業・企業も立派なESG関連です。「主力事業ではないものの、風力発電設備の部材を製造・販売している」といったように、部分的であれ絡む企業は少なくありません。情報収集し、市場よりも先にこうした株を見つけて買いを仕込むことも、効果的なESG投資と言えそうです。

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