知らないと損!贈与税を非課税にする4つの制度
LIMO / 2021年10月31日 11時35分
知らないと損!贈与税を非課税にする4つの制度
贈与税は相続税よりも負担が重い税金と言われます。そのため、非課税制度を利用して税負担を少なくすることは大きなメリットとなるでしょう。
そこで「夫婦間」「祖父母から孫へ」など、贈与の状況に応じて利用できる4つの制度をご紹介します。
令和3年度の税制改正により適用期限が延長された制度もあります。それぞれ贈与の目的や条件が定められているので、適用可能か判断して、制度をかしこく利用しましょう。
贈与税の基礎知識
贈与税は個人からの贈与によって財産を取得した場合に、その取得した財産に課税される税金です。税額は、その年の1月1日から12月31までに贈与を受けた財産を合計した金額から、基礎控除である110万円を差し引いた残額に税率をかけて計算します。
贈与税の税率は、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されています。「特例贈与財産」は直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用し、「一般贈与財産」はそれ以外の場合の贈与税の計算に使用します。
例えば、18歳の孫が祖父母から500万円の贈与を受けた場合は、直系尊属であっても、年齢が20歳未満なので「一般贈与財産」の税率で計算をします。
基礎控除後の課税価格 500万円-110万円=390万円
贈与税額の計算 390万円×20%-25万円=53万円
実際に孫が受け取れる金額は447万円になります。
贈与税がかからない財産
贈与税の最高税率は55%とかなりの税負担であることがわかります。しかし、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。
法人からの贈与により取得した財産 (所得税がかかります)
夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者からの生活費や教育費など
選挙運動に関して受ける寄附金で公職選挙法の規定に従って報告されたもの
心身障害者共済制度に基づく給付金を受給する権利
個人から受ける見舞金・香典・贈答など、社会通念上相当と認められるもの
(※贈与税がかからない場合の一部を紹介)
贈与税の非課税制度
贈与税がかかる財産であっても、特例によって非課税となる場合があります。大きい金額を一括で贈与するケースに利用できますので、節税効果も高くなります。
1.住宅または住宅取得資金の配偶者控除
夫婦の間で、住宅や住宅を取得するための資金の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円までの控除を受けられます。制度の適用を受けるためには、下記の要件をすべて満たした上で、贈与税の申告手続きが必要です。
<適用要件>
婚姻期間が20年以上あること
居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた不動産または贈与を受けた金銭で取得した不動産に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
※配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
2.直系尊属からの住宅取得等資金の贈与
平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から、自己の居住用の住宅を取得(新築)または増改築するための資金を贈与された場合に、一定の要件を満たせば、次に示す非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。
要件には、贈与を受ける側(受贈者)の要件、住宅用家屋の要件など、細かく定められています。
<受贈者の主な要件>
贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること
合計所得金額が2000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1000万円以下)であること
その他の要件は「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁」でご確認ください。
3.直系尊属からの教育資金の一括贈与
30歳未満の者が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など)から金銭を受け取った場合、1500万円まで贈与税が非課税となります。金融機関を通して贈与を行うため、贈与を受ける子や孫の口座を開設しておく必要があります。
<注意点>
30歳までに贈与されたお金を教育資金として使い切らなかった場合、残額に対して贈与税が課せられます。また、贈与者が契約期間中に死亡した場合に、口座に残額がある場合は、その残額は相続税の対象となります。(受贈者が23歳未満または学校に在学している場合は、相続税の対象外となります。)
受贈者の要件として、贈与を受ける年の前年分の合計所得金額が1000万円を超える場合には、制度の適用を受けることができません。
※令和3年度税制改正により、2年延長され、適用期限が令和5年3月31日までになりました。
4.直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与
20歳以上50歳未満の者が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など)から金銭を受け取った場合、1000万円まで贈与税が非課税となります。(結婚費用として充てることができるのは300万円が限度です。)
<注意点>
50歳までに贈与されたお金を結婚・子育て資金として使い切らなかった場合、残額に対して贈与税が課せられます。また、贈与者が契約期間中に死亡した場合に、口座に残額がある場合は、その残額は相続税の対象となります。
受贈者の要件として、贈与を受ける年の前年分の合計所得金額が1000万円を超える場合には、制度の適用を受けることができません。
※令和3年度税制改正により、2年延長され、適用期限が令和5年3月31日までになりました。
非課税控除の利用には「手続き」を忘れずに
ここで紹介した非課税制度を利用するには、手続きが必要です。「住宅または住宅取得資金の配偶者控除」と「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与」は贈与を受けた年の翌年の3月15日までに納税地の税務署に申告書を提出します。
「直系尊属からの教育資金の一括贈与」と「直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与」は金融機関に申告書を提出し、契約を結ぶことで手続きが完了します。申告する必要のない基礎控除とは違いますので、手続きは忘れないようにしましょう。
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参考資料
国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)
知るぽると「10. 贈与税はどんなときにかかるか ─ 相続税と贈与税」(https://www.shiruporuto.jp/public/senior/inherit/sozoku_zoyozei/sozoku_zoyozei010.html)
国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm)
国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm)
国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm)
国税庁「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm)
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