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「年収1000万円」片働きor共働き世帯の手取りの違いは?所得制限の対象となる制度も確認

LIMO / 2021年11月15日 11時45分

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「年収1000万円」片働きor共働き世帯の手取りの違いは?所得制限の対象となる制度も確認

2021年11月10日、自民・公明両党が18歳以下に10万円相当の給付を行う支援策で、年収960万円以下の所得制限を設けると各種メディアで報じられました。この所得制限は世帯年収ではなく、夫婦どちらかの年収になる予定です。

世帯年収ではなく、夫婦どちらかの年収となることに対して、さまざまな意見があがっています。実際に同じ年収1000万円でも、片働きと共働き世帯では手取りにどれくらいの差があるのでしょうか。手取り額の違いや所得制限により受けられなくなる子ども関係の制度をみていきます。

日本で「年収1000万円」の人の割合は?

国税庁が2021年9月29日に公表した「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者数は5245万人のうち、平均年収が433万円。

まずは日本の給与段階別の給与所得者の構成比から、年収1000万円の人の割合をみていきましょう。

【給与階級別給与所得者数・構成比(令和2年分)】 

【全体】:5244.6万人

100万円以下:442万人(8.4%)

100万円超200万円以下:722.6万人(13.8%)

200万円超300万円以下:814.2万人(15.5%)

300万円超400万円以下:913万人(17.4%)

400万円超500万円以下:764.3万人(14.6%)

500万円超600万円以下:536.6万人(10.2%)

600万円超700万円以下:339.5万人(6.5%)

700万円超800万円以下:231.3万人(4.4%)

800万円超900万円以下:145.3万人(2.8%)

900万円超1000万円以下:95.2万人(1.8%)

1000万円超1500万円以下:175.3万人(3.4%)

1500万円超2000万円以下:38.4万人(0.7%)

2000万円超2500万円以下:12.4万人(0.2%)

2500万円超:14.5万人(0.3%)

「1000万円超1500万円以下」は3.4%です。

最も多いのは「300万円超400万円以下」で17.4%。年収1000万円以上で見ても全体の4.6%となり、年収1000万円に達するのは難しいことがわかります。

「年収1000万円」片働きと共働き世帯の手取りの差は?

年収1000万円に達するのは難しいですが、共働きで夫婦で年収1000万円というご家庭もあるでしょう。

夫婦のどちらかが年収1000万円の世帯と、共働きで年収1000万円の世帯。手取りで見るとどちらが多いのかは分かりにくいですよね。

それぞれのパターン別に、おおよその手取り額を計算してみましょう。

会社員の夫(年収1000万円)と専業主婦の妻、子ども(16歳未満)が2人の世帯

1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
805万円-150万円(社会保険料控除)-48万円(基礎控除)-38万円(配偶者控除)=569万円(課税所得)
所得税:569万円×20%(税率)-42万7500円(控除額)=71万500円
住民税:569万円×10%=56万9000円(=住民税)

1000万円-150万円(社会保険料)-127万9500円(所得税と住民税)=722万500円

※社会保険料は年収の15%とする
※住民税は所得の10%とする
※千円未満は切捨て

会社員の夫と会社の妻それぞれ年収500万円、子ども(16歳未満)が2人の世帯

500万円-144万円(給与所得控除)=356万円
356万円-48万円(基礎控除)-75万円(社会保険料控除)=233万円(課税所得)
所得税:233万円×10%(税率)-9万7500円(控除額)=13万5500円
住民税:233万円×10%(住民税)=23万3000円

500万円-75万円(社会保険料)-36万8500円(所得税と住民税)=388万1500円
388万1500円×2人=776万3000円

※社会保険料は年収の15%とする
※住民税は所得の10%とする
※千円未満は切捨て

その差を比べると、共働き世帯の方が約54万円ほど手取りが多いことが分かりました。

とはいえ、片働きで年収1000万円では所得制限の対象となってしまう制度に、今回の子育て世帯への10万円相当の給付や児童手当があります。その制度を詳しく見ていきましょう。

年収1000万円では所得制限の対象になる制度

今回の10万円給付以外でも、年収1000万円の場合は所得制限にかかる制度があります。子育てに関わる制度を2つ見てみましょう。

「児童手当」は片働きで対象に

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方にむけて支給される制度。金額は月額で3歳未満に一律1万5000円、3歳以上小学校終了前に1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生に一律1万円です。

ただし、所得制限の対象となる方は特例給付の「児童1人当たり月額一律5000円」となります。モデル世帯として「会社員の夫と専業主婦、子ども2人の家庭」では、年収960万円が所得制限の対象になるでしょう。

さらに2022年10月からは、夫婦どちらかが年収1200万円以上の場合、児童手当が廃止されることになりました。

「高等学校等就学支援金制度」は片働き・共働きともに対象

高等学校等就学支援金制度は、収入等要件に応じて、授業料にあてるために就学支援金が支給される制度。こちらは片働きか共働きかで所得制限が変わります。それぞれ確認します。

両親共働きの場合の目安年収

子の数:年11万8800円(月額9900円)の支給対象・年39万6000円(月額3万3000円)の支給対象

子1人(高校生):~約1030万円・~約660万円

子2人(高校生・中学生以下):~約1030万円・~約660万円

子2人(高校生・高校生):~約1070万円・~約720万円

子2人(大学生・高校生) :~約1090万円・~約740万円

子3人(大学生・高校生・中学生以下):~約1090万円・~約740万円

両親のうち一方が働いている場合の目安年収

子の数:年11万8800円(月額9900円)の支給対象・年39万6000円(月額3万3000円)の支給対象

子1人(高校生):~約910万円・~約590万円

子2人(高校生・中学生以下):~約910万円・~約590万円

子2人(高校生・高校生):~約950万円・~約640万円

子2人(大学生・高校生) :~約960万円・~約650万円

子3人(大学生・高校生・中学生以下):~約960万円・~約650万

※給与所得以外の収入はないものとし、両親共働きの場合、収入は同額として計算

上記はあくまで目安の年収になり、詳細は子どもの年齢などにもより異なりますが、モデル世帯として「会社員の夫と専業主婦の妻、子2人(高校生・中学生以下)」では年収910万円以上は対象外になるでしょう。

年収1000万円でも内情は多種多様

日本の所得税は累進課税制度のため、年収が多くなるほど税率が上がり、引かれる所得税も増えます。一方で、年収が高いほど所得制限の対象になりやすい傾向にあります。

はじめに見たように、1人で年収1000万円に到達するのはたやすいことではありません。年収1000万円に到達し、また維持するためにたゆまぬ努力をされている方もいるでしょう。子どもの数が多い家庭など、家庭の状況もさまざま。妻が専業主婦の片働き世帯では、リストラや病気、ケガといったトラブルの際のリスクも抱えています。

年収が高いとはいえ、内情はそれぞれであることを踏まえた政策 に期待したいところです。

参考資料

国税庁「令和2年分(2020年)分民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf)

内閣府「児童手当制度のご案内」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)

文部科学省「高校生等への修学支援」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm)

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